三十一話:テストと日常
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おまけ〜どこかの誰かの御先祖様の記憶〜
「ふふふ……想像以上だ、聖王家の王女よ。いや、今はシュトゥラの姫騎士と呼んだ方がよいか?」
「どちらでも構いません。それよりも傷の手当てを急いだ方がいいのでは?」
「ふふふ、それが我の腹を切り裂いた奴の言葉か。全くこれでは男にモテんではないか」
向かい合う二人の女性。
一人は所々に傷を負いながらも悠然と立ち。
もう一人は腹部から血を流しながらも不敵に笑う。
二人はつい先ほどまで殺し合っていた。しかし、大きく傷ついているのは片方だけ。
理由は簡単。シュトゥラの姫騎士―――オリヴィエが圧倒的に強いからだ。
「それに我は敵の王だぞ?」
「捕えればよいだけの話です。捕まってくだされば命は取りません」
「はっ! そなたの言うことが真実であろうとその気はない!」
「それはあなたの王としての矜持ですか?」
オリヴィエの言葉に彼女は笑いながら首を横に振り両手に持ったサーベルを振り上げる。
その目は獰猛な野獣を思わせ、並の人間であればそれだけで逃げ出してしまうだろう。
だが、オリヴィエは全く動じずにそれを受け止める。
「違う! 我が求めるのは血と闘争! 極上の決闘から逃れるなど言語道断よ!」
「……分かりました。その悲しい性、私の手で止めて見せましょう」
「ふはは! それは楽しみだ。さあ―――死ぬまで踊り狂おうではないか!」
ぶつかり合おうとする両者。だが、それを邪魔する者が飛び込んでくる。
彼女の部下だ。命を賭して主君を守る為にこの場に飛び込んできたのだ。
それを見て自らの武器を引くオリヴィエ。しかし、彼女は別だった。
「邪魔だ」
「へ、陛下?」
峰打ちながら一太刀の元に叩き伏せられる部下。それを行ったのは主君たる彼女だ。
オリヴィエは信じられないとばかりに口を開く。
一方の彼女は部下を冷たい目で見下ろし諭すように声を掛ける。
「神聖な決闘に横槍を入れるとは何事だ、貴様」
「しかしこのままでは陛下のお命が…」
「たわけ、我を信じずに敵を信ずるか」
「そ、そういうわけでは」
「もうよい。汝は用無しだ……と言いたいところだが命を賭けた諫言に免じ許そう」
彼女は突き刺そうと振り上げたサーベルを鞘に納める。
そして自らが叩き伏せた部下を蹴り上げ無理やり立たす。
それに伴い、腹部から血が流れ出るが彼女は顔一つ歪めない。
「へ、陛下お傷が!」
「この程度で死ぬような体はしておらん。……聖王家の王女よ、ここは退かせてもらうぞ。全く……王とは不便なものだな」
「……言ったはずです。ここで捕らえると」
「ふっ、汝と再び死合うまでは捕まらんよ」
彼女は最後にそう言い残し、煙幕を起こす。
そし
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