五日目 ストーカーな彼女
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午後の授業は体育だった為、俺は今更衣室に向かっている。その最中、背後からジロジロと此方を伺っている気配を感じる。
(また、付けてきてやがるな)
俺は後ろを数メートル離れて歩いているそいつに溜息をつく。紫の髪を揺らして、チラチラと此方を見つめるその視線にイラっとくる。この下手くそな尾行をしている奴はある程度、検討が付いている。犯人の名前はーー
ーー小田切 寧々。一年B組の生徒だ。
(確か、リカも言ったな。一年B組は魔女が三人いるって、今回の一年生には四人 魔女が居るのだから。早めに潰しておくに越したことは無いか……。本当は嫌なんだけどな……)
「はぁ……」
俺は曲がり角を曲り、その角に隠れる。
「あれ?先輩は……、見失ってしまったわっ」
「見失ったって、もしかして俺の事か?」
「きゃあっ!!」
「ひでぇな。人をお化けみたいに。よっ、小田切」
俺は驚きで目を丸くしている小田切に右手を上げる。そんな俺に小田切は食ってかかるような視線を送る。その視線を受け流し、壁にすがって笑いかける。
「なぁ、小田切。なんでお前、俺の事尾行してるんだ?」
「なんでって……。それは……」
口ごもる小田切の代わりにその後を続けてやる。
「自分に虜になるはずがなってないからだろ?あの日、俺とお前 キスしたもんな」
「………。それが分かってるんだったら……なんで……」
「なんで、逃げるのか?そんなに知りたいのか?俺がお前の魔法にかからないことに」
「だって、今まで居なかったんですっ。あたしの魔法にかからない人なんて。だから、その理由が知りたい。貴方が何者なのか……知りたい……」
「……。そうか、なら。放課後、空き教室に来な。教えてやるよ、お前の魔法がかからない理由」
俺は小田切に手を振りながら、その場を去る。
(これで三人目か……)
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