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Fate/Monster
バーサーカー差し替え編
フランドール・D・A・B・H・ヴィクトリアの場合
#01
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方がない。元より、先に間桐家から逃げ出したのは雁夜の方なのだから、鶴野を強く責める資格が自分にないことも重々承知していた。と、言うか、雁夜自身が逃げ出した際に荷物をまとめた鞄の中に万札十数枚突っ込んでくれてた兄貴に対してなんの文句が言えようか。

 大きくため息を付いて思考を切り替えると、「さて、これからどうするか」と雁夜は独りごちった。桜の救出という目的は果たしたし、目下の障害と思った兄も自分探しと称してとんずらこいた。遠坂時臣に桜にした仕打ちを思い知らせてやろうと心中で渦巻いていた執念も、無事な桜を見ていると小さくなってゆく。残す問題は――自らのサーヴァントと聖杯戦争だ。正直に言って、今の自分に聖杯に叶えてもらうような大それた願いなどない。そうなると、バーサーカーはお荷物以外の何者でもない。魔力を食いつぶす上に敵襲の危険も誘う厄介者だ。


「(悪い奴ではなさそうだし、心苦しくはあるが、自害でもさせて消えてもらった方が――)」

「あぁ、そうだ。マスター君。君とサクラには明日より魔術を体得してもらう。無論、拒否権はない」


 フランがそう言って数瞬後、雁夜は頭が一瞬でフットーし、フランに対して掴みかかった。


「巫山戯るな! 桜ちゃんをこんなクソみたいな世界に巻き込まない為に俺は臓硯のクソジジィの拷問に耐えてきたんだぞ!? 桜ちゃんに魔術なんて教えられるか! 桜ちゃんを魔術師の生きるクソみたいな世界に生かさせてたまるか!!」

「ではどうするのだ? サクラの実父のトオサカトキオミはそのクソみたいな魔術師の典型なのだろう? 貴様の戸籍上の父であった蟲が死んだと聞けば、サクラを連れ戻して別な魔術師の家に改めて養子に出すだろう。そうなれば、最早貴様の手には負えまい?
 あぁ、私の手を借りようなどと考えるなよ? 私は喚ばれたから来ただけだ。貴様を血の従者にしたのも殆ど気まぐれだ。言っておくが、令呪は私には通用せんぞ? 蟲の固有堆積時間を奪った際に令呪の仕組みは十全に理解した。これを無効化する呪具も作成済みだ。

 大体、貴様はこの世界に於ける魔道から逃げ出した落伍者らしいではないか。そんな奴が、自身以外を犠牲にする事を何とも思わず、超自然的能力を行使できる魔術師達から、この小娘を守れるとでも? ほぼ何も出来ない貴様が?




 ――――思い上がるのも大概にしておけよ?」


 と、ドスの効いた声で雁夜に言い立てるフラン。まあ、それもそうだろう。只でさえ人の拳大の蟲を五百同時に行使出来れば上々な実力の雁夜が、炎を扱って中堅の中でも上位の実力を持つ遠坂時臣に勝とうなんて事自体が土台無理な話なのである。
 こと型月世界に於いて魔術の属性は、NARUTO世界の忍術の性質変化の優劣関係の様なモノは存在していない。
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