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ソーサープリム
第一章

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                 ソーサープリム
 ボリビアのオルロにいる少女ミレッラ=トレドは通っている中学校の社会の授業を受けてだ、先生に手を挙げて尋ねた。
「じゃあ私達は」
「そう、ケチュワ族はね」
 先生もこう答える、
「インカ帝国を築いたんだよ」
「そうなんですね」
「そうなんだよ」
 こうミレッラに話す。
「私達はね」
「そうなんですか、ただ」
 ここでだ、ミレッラはいつも鏡で見ている自分の姿を思い浮かべた。黒くてはっきりした目は睫毛が長い。そして濠はあまりないが黒髪はラテン系の血そのままで縮れ気味でだ。肌は浅黒い感じで鼻は丸い。小柄で胸はようやく出て来た感じだ。
 その自分の姿、そして今一緒に授業を受けているクラスメイト達、先生も目で見回した。そのそれぞれの名前も思い出して言った。
「結構」
「スペインがだね」
「入ってません?」
 スペイン語で言うのだった。
「やっぱり」
「それは何処でもだよ」
「ボリビアは」
「もっと言えば中南米全体がね」
 メキシコから南がだ。
「ブラジルはポルトガルだけれど」
「言葉普通に通じて」
 スペイン語とポルトガル語が同じラテン系の言語で極めて近いからだ。それこそ方言位の違いしかない。
「中南米全体がですね」
「スペインの血が入ってるよ」
「そうですよね」
「今話してる言葉だってそうだしね」
 先生はわ笑って自分でもこう言った。
「スペイン語だね」
「はい」
「スペインの影響が強いのは確かだよ」
「血も入ってますね」
「そのことは確かだよ、けれどね」
「私達はですね」
「あのインカ帝国を築いたんだよ」
 先生はミレッラ、そしてクラスの生徒達に笑顔で話した。
「実際にね」
「そうなんですね」
「そのことは事実だよ、そしてね」
「そして?」
「私達は結構色々な国にいるから」
 ボリビア以外にもというのだ。
「ペルーやアルゼンチンにもね」
「そうなんですね」
「広い範囲にいるんだ」
「インカ帝国みたいに」
「広い場所にいるんだ」
「ううん、それじゃあ」
 ここまで聞いてだ、ミレッラは腕を組んで言った・
「私も頑張って」
「インカ帝国をもう一度作るのかな」
「いえ、そうじゃなくて」
 国を作るとかいう気持ちはミレッラにはない、今いるボリビアで充分だと思っている。
 それでだ、こうも言ったのだった。
「そのご先祖様達に負けない様に立派な人になりたいです」
「そっちだね、君が思うのは」
「はい、頑張ります」
 明るい顔での言葉だった。
「立派な人になります」
「いいことだよ、それじゃあね」
「それじゃあ?」
「まずは勉強をして神様の教えを守って」
 キリスト教のというのだ。
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