第6章 流されて異界
第124話 北へ
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其処に通う心算……な訳はないから、俺やさつきの代わりに怒ってくれている心算なのでしょうが……。
ただ……。
「いや、そもそも、何故、その連中の家が名家として代々やって行けているのか、……を考えると、一概に家柄で優劣を付けるのがナンセンスだと言い切れない部分もある」
そもそも、俺の使う仙術を使用するには仙骨と言う素質と、更に見鬼の才が必要とされる。その内、仙骨と言う部分は素質が低くても修行で何とか補える物なのだが、もうひとつの見鬼の才と言う部分は百パーセント才能。天分に左右される部分。
大体、百人に一人が持つ才能なのですが、その百人に一人の才能が必ず名家の跡取りに生まれる訳はない。
まして、その百人に一人の才能では、凡百の術師が出来上がるのが関の山。本当に必要な才能は、その百人の内の一人が集まった百人の中の更に一人、と言うぐらいの可能性しかない。
「術を受け継いできた名家と言うのは、少なくとも千人に一人ぐらいの才能の子供を幼少の頃から教育して、養成用の学校に入学する頃には基礎的な部分は全て終えている。そう言う連中なんや」
それだけの労力を何代にも渡って惜しみなくつぎ込んで来た連中と言うのが、今の日本の術師を牛耳っている連中。当然、その確率統計を無視した可能性の代償はヤツラが背負う業と言う形で現われているはず……ですが。
「故に、俺のような出自のはっきりしない外様は嫌われる……と言う事になる訳なんや」
一応、そう話を締め括る俺。
但し、これは表面上だけの事。少なくとも俺の本名の方の出自は分かっている。元々、神職を代々続けて来た家柄なのだから、一九九九年までの俺ならば、間違いなく現代に蘇えった陰陽寮の方に進学していたでしょう。その程度の才能は示していましたから。
但し、現在の俺の場合は別の理由で嫌われているから、日本の術師養成用の学校には通わなかった、のですが。
水晶宮と言う組織は日本の術者を中心とする組織などではなく、大陸に端を発する術者の組織ですから、排他的な日本古来の術者との相性は最悪でしたから……。
ふ〜ん、と言う様子。但し、彼女が発して居る雰囲気は、先ほどのこれから向かう高坂市で起きて居る事件の話をして居る時よりは、余程関心を示しているのが分かる雰囲気で話を聞いているハルヒ。
そして、
「さつきは相馬なんだから、出自から言うと平家の出自になるのよね。桜は、弓月だから秦かと思って居たけど、この間の話だと賀茂か、もしくは安倍の可能性もあるとは思うけど……」
そう言って、一度言葉を切り、俺の顔を見つめるハルヒ。もっとも、この先の問いは分かる。
俺の出自は……。
「俺は藤原。割と有り触れた出自だ」
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