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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第124話 北へ
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にハルヒに話し掛けて居る訳ではない。

「そんな薄い繋がりの事件を、一体、何処の誰が繋げて考えたんや?」

 そもそも、ハルヒが言うように火事や交通事故での死者などそんなに珍しい物ではない。特に十二月は火事の件数も増えるし、更に言うと二〇〇〇年の交通事故は起きても不思議ではない状況下……天候だったと言える。
 確か火災による死亡者は人口十万人に一人か二人。交通事故の死亡者なら十万人で四,五人と言うトコロだったと思う。

 元々、どう考えても繋がりの薄い自殺や事故。それも一年置きに死者の出る事態を何処の何方が繋ぎ合わせて、次に被害者となる可能性のある人物が、公園の西に住む高坂さん……弓月さんの従姉に当たる家から出る可能性がある、と思わせたのか。
 これが事件。殺人事件の類で、それぞれに犯行予告なり、事件現場に同じメッセージが残されて居た、と言うのなら話は分かるのだが……。

「これは一種の呪いなんや」

 本来、偶然の積み重ねを如何にも何らかの人為的な……魔術的な作用に因る不幸だと思い込ませる事によって、其処に陰の気の停滞を招かせ、更なる不幸を呼び込ませる。ごく初歩的な呪いの方法。
 今回の場合は、既に弓月さんの従姉に当たる女性が原因の良く分からない病気で臥せって居ると言う事なので、もし犯人が居るのなら、ソイツの目的はある程度達成されていると思う。

「何よ、それ。地味な事件じゃない」

 平安貴族じゃあるまいし、現代人がその程度の目的の為に、こんな手の込んだイタズラをすると本気で思っているの?
 本当に呆れた者の口調での問い掛け。

 ただ当然のように、先ほどまでの俺の言葉は、その辺りも加味しての判断。
 何故ならば、この世界は這い寄る混沌が色々と画策している世界。何を考えて居るのか分からないヤツだけに、面白そうだと言う理由だけで、このような迂遠な方法で呪いを実行する術式を誰かに教える可能性はある。
 但し……。

「故に、実際に危険な事件が起こりつつあるのか、それとも、単なる偶然が積み重なっているのか分からない状況と言う訳なんや」

 まさかハルヒに対して、この事件の裏で這い寄る混沌が動いている……いや、おそらく動いて居た可能性がある、などと説明出来る訳はない。
 彼女自身もその犠牲者で、更に、未だその影響から完全に脱し切っていない可能性が高いのですから。

「何よ、それ。結局、あんたは何も分かっていないと言う事じゃないの」

 相変わらず、ここと言う時に使えないわね。
 俺の方こそ相変わらずの物言いだな、と言いたい気分。彼女の中の武神忍と言う存在が、一体、どんな存在なのかきっちりと話し合いたい気分なのですが、それでも、そんなに気分の悪い……普段と様子が違う為に、何となく座りが悪い雰囲気からは
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