第6章 流されて異界
第124話 北へ
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素の――教師やその他、礼儀正しく相手をしなければならない相手と相対する時の彼女のソレ。
但し、俺を相手にそんなよそ行きの態度で相対す必要などないので、おそらく、これが本来の彼女。
「そもそも数万人規模で暮らして居る街で自分の首を切るような猟奇的な自殺なら未だしも、火事や交通事故なら月に数度は。それに、マンションからの転落事故でも年に数度は起きて居るはずよ」
まして、死んだ人たちの名前から同じ一族に属する人間でもなさそうだし、性別もバラバラ。死亡した日や方法、時間にも一貫性がない所から、この事件がひとつの意志の元に起こされた事件だと考えるのには無理があるわ。
非常に理路整然とした考えを口にしたハルヒ。但し、無理があるからと言って彼女自身がその……非日常に染まった事件である可能性を完全に否定している訳ではない事が、今の彼女が発して居る雰囲気から読み取る事が出来る。
成るほどね。
「流石に頭が良いだけの事はある」
小さく首肯きながら、そう呟く俺。これは常識人の判断と言うヤツ。
但し……。
「今回の事件に関して言うのなら完全に関連性がない、とは言い切れないトコロに問題がある」
先ず犠牲者の名前。これは明らかに五行に関係している。更に死亡した場所。これも同じく五行に対応している。
更に言うと、中央 → 南 → 東 → 北 この順番は明らかに縁を逆に辿って居る。縁を逆に辿る、と言うパターンを取る術式は……ハルヒが最初に口にした邪神召喚の儀式の中でも冥府に堕ちた存在を呼び戻す時に使われる事が多い。
そして、もうひとつの共通点は……。
「その一貫性のない日付と言う部分にも、実は共通点を見付け出す事が出来るんや」
一九九八年と一九九九年の十二月二十三日。
二〇〇〇年と二〇〇一年の十二月二十一日。この日の共通点とは……。
「それは冬至。一年の内で一番昼間が短い日」
これは、一年の中で一番陽気が弱い日と言う事。
つまり……。
「陰気に塗れた……冥府から呼び出す類の邪神を召喚するのには、この日は一番適した日と言う事になる」
本来なら大半のこの手の話は一笑に付す事が出来るのだが、今回の場合は簡単に与太話だな、と言い切る事が出来ない理由がこの辺り。
普通に考えると、こんな薄い繋がり。更に、一年置きに五人の生け贄を捧げて召喚するような気の長い術式などに外部の人間が気付くのは難しいから、邪神召喚に成功する可能性が高い……と思う。
つまり、何処かの誰かが邪神を召喚しようとしている可能性もゼロではない、と言う事。
「それにもうひとつ、どうしても解せないトコロがある」
胸の前で腕を組み、考える人の基本姿勢でそう呟く俺。但し、これは最早独り言のレベル。別
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