四話、僕のもう一つの聖剣。
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「この森を一直線へ進めば、おそらく貴方が転属する教会に辿り着くはずです。それと―――」
「はぐれ悪魔には気をつけろ、ですか? 安心してくださいよ。あともう直ぐなんでしょ。こんな森の中でばったり糞悪魔に会うなんてありませんよ。僕、持ってますから」
僕が余裕満々の顔でそう言うと、
「……そうですか……そうですね」
案内役だったクリスチャンの彼女は、納得したようにそう言い残す。そして、僕が、プロテスタント教会への転属と、目的の聖剣を所持することを認める証明書を手渡し、僕の見送りを背中に受けながら、森の外へと去っていた。
まあ、しょうがない。彼女も僕も含めて、カトリック、プロテスタントなど、関係なく、エクソシスト自体が人員不足であるがために、本来暇なんてありゃしない。
そんな中でこうして僕を案内役としていたのは、天使様からの御通達があったからで。
僕は心の中だけで、ありがとうございました、とだけ言い残し、駆け出した。
異形の姿をした黒い塊を瞳に写して。
「ぼうやぁ、私と遊ばなぁい? 優しくしてあげるから、ネェ………あはっ………アハエハハハハハハハ……??」
糞悪魔が言った。
おそらくはぐれ悪魔。元は女の悪魔。そして、駒の特性は戦車……すか。
クリスチャンさん……どうやら持ってなかったようです。
俺はそう愚痴り、聖剣アスカロンを鞘からゆっくりと抜く。
しゃらん、と音を立て、その聖剣アスカロンの剣先は、木々の隙間から漏れ出る太陽光を乱射させる。
幸いなことに、聖剣アスカロンが僕の脳内に話しかけるという、幻聴は、この時ばかりはなか―――
『こ、これからご調教なさるのですね。アスカロンがんばります』
………うわーテンションだだ下がりだわー。なんでこのタイミングで、喋んのかな?
『あっんっ、……因子が流れ込んでくる』
死にたい………うん、もう良いや、ヤケですよ。てか、まだ因子流し込んでねーよ。
「くっ」
僕は文字通り、ヤケになり、一気に自身の因子をアスカロンへ流し込む。
そして、幻聴は止む。
何故かは知らないけど、因子流すと黙るんだよね。なんでかは知りたくもないけど。
前方を見やれば、あのはぐれの悪魔は、既に異形そのものになりつつある。先ほどまでは頭だけは人間に酷似した造形こそはしていたものの。
今はもう、魔物と言うべきか、悪魔とは遠くかけ離れたものであった。
「じゃーね、おばさん」
僕は言葉すらままらなくなったはぐれに、慈悲の篭った一言を放ち、同時に聖剣アスカロンを天へと持ち上げる。
瞬間、剣に光の粒子が収束する。
渦のように雄叫びを上げたそれは、今にも暴走しそうだった。
暴走直前にまで、流し込んだ因
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