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英雄は誰がために立つ
Life14 新たなる贋作者
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ミスター・ティー》の作成した鎧はメリットの方が多かったのだが、この程度では今後にも支障をきたすので強化を要請しようと心に決めたライダーだった。

 「漸く大人しくなった、なっ!?」

 やっとの思いで大人しくさせたライダーの最強宝具(それ)が、地面から宙へと吹き飛んでいった。
 その原因を作ったのは敵である藤村士郎だ。
 考えなくともこんな大きな隙を逃す馬鹿もいるまい。

 「お、のれっ!」

 しかし道理と感情は別であり、忌々しげに舌打ちをしながらライダーの最強宝具(それ)に再度跨る為にその場を跳躍する。
 確かにライダーは生前、王ではあったが今のその身は英霊である。
 故に、生前と同じく白兵戦のレベルは高くはないが、身体能力はそこらの下級悪魔や中級悪魔を遥かに凌ぎ、才能に溺れて胡坐を組んでいる上級悪魔程度の身体能力も超えている。
 そんな運動能力を駆使すれば難しい事では無いのだが、またもやここで邪魔が入る。
 敵がいるのだから当然だが。

 「フン!」
 「ゴハッ!?」

 目標を捉えるために隙を作ってしまったライダーに、士郎の正拳が炸裂して吐血しながら吹き飛んでいく。
 しかし不幸中の幸いな事に、既に手元の鎖とライダーの最強宝具(それ)を拘束した鎖を繋げていたので、吹き飛びながらも如何にかまたがることに成功した。

 「チッ」

 それを見た士郎は即座に追撃に入ろうとしたが、ライダーは撤退する事を既に決めていたのか、未だにライダーの最強宝具(それ)と共に宙を吹き飛んでいながら転移魔法陣を出現させる。
 そもそも、士郎が自分の下にこうして来ているのが何よりの証拠だとも考えていた。

 (余を此処まで追い詰めた称賛と共に、今日の屈辱は忘れぬぞ!藤村士郎!そして悪魔共っ!)

 悔しげな表情を作りながら転移して消えて行くライダー。

 「逃したかっ!」

 自慢の視力で辺りを見回すも、視認できない事に士郎も悔しげにした唇を噛む。
 しかしいつまでも名残惜しんでもいられないと考えて、自身の状態を平常に戻して重傷を負っているタンニーンの元へ急ぐ。

 こうして、敵サーヴァント達による冥界襲撃を撃退する事には一応成功したのだった。
 しかしこの襲撃などは、まだまだ黒幕たちの思惑――――掌上の許容範囲でしなかった。
 そんな事を知らぬ若者たちは今日も必死に生きていく。
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