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英雄は誰がために立つ
Life14 新たなる贋作者
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崩れてほぼなかった。
 そして、それ(・・)を見据える士郎は困惑に囚われていた。

 「コイツは何だ(・・)・・・!?」

 士郎の見たモノは、深く深くただ深く――――。重く重くただ重く――――。暗く暗くただ暗く――――。濃く濃くただただ濃い――――――――――。

 黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒―――――暗黒なる闇・・・・・・だった。

 それ以外は赤く鋭い双眼だけだった。
 そしてそれ(・・)は、顔を士郎から背けてライダーへ向き、口を大きく開く。
 その現実を目の前に、即座に掌を前へ向けて躊躇いなく宝具を展開する。
 ライダーの宝具は全部で三つあるのだが、二つの内一つは僅かに間に合わないと判断してもう一つを使う事を決めた。
 ところでライダーの最強宝具には重大な欠点がある。
 それは、ライダー自身が跨がっていなければその宝具を仕舞う事も操る事も出来なくなると言う、重大過ぎる欠陥だった。
 それはつまり、ライダーの最強宝具(それ)は自らの意思で敵を決めると言う事だ。
 勿論その中にはライダーの仲間や部下、ひいてはライダー自身(・・)も含まれている事だった。

 「死苦痛死苦痛死苦痛死苦痛死苦痛死苦痛死苦痛死苦痛(ルォオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオ)!!!」

 まるでライダーを飲み乾さんばかりに吐き出される深く重く暗く濃い―――――闇。

 「仲間割れ!?」
 「ライダー・・・・・・に向けて放った?」

 ライダーの宝具のそれ(・・)の行動に一誠は驚き、士郎は怪訝な表情を作った。
 そんな敵2人の反応をよそに、それをライダーは、回数制限のある宝具を躊躇いなく使う事で迎撃する。

 「二十の秘術(イブリース・カーノーン)!!!」

 ライダーの宝具の展開により、あれだけの密度を誇る暗黒が一瞬にして霧散する。
 その迎撃に間髪入れずに、先程は間に合わないと判断した宝具を顕現させる。

 「敬虔なる悪縛(シーダースプ)!!」

 ライダーの真名解放と声とほぼ同時に彼の周りの空間が数か所ほど歪んだ後に、瞬時に穴が開き、そこから幾つもの鎖が出現して、反逆行動をした謎の宝具(それ)に向けて殺到する。

 「苦苦苦死死死死死死死死死死(ルォオオオオオオオオォオオオ)!!?」

 ライダーの宝具たる鎖を全体に巻き付けても直にはは大人しくならない“常闇の何か”だが、徐々に抵抗を弱めていく。
 ライダーの最強宝具は、本来使う場合はこの鎖――――敬虔なる悪縛(シーダースプ)を使い、無理矢理に操作させなければ操れないのだ。
 その為、最強宝具を使う場合は敬虔なる悪縛(シーダースプ)は事実上使用不可となる。
 そう言う理由もあってか、|Mr.TEA《
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