怨みは夜の帳に包まれて
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ビィさんはため息をついた。
その頃、剣咬の虎の泊まっているクロッカスガーデンでは・・・第三者side
「情けなくて涙も出ねぇぞ、クズ共」
剣咬の虎のメンバーたちは宿の一室に集められ、ソファーに腰掛け果物を頬張る男の話を聞いている。話を聞いているその姿はまるで軍隊のようだった。
「なぜ我々が魔導士ギルドの頂点にいるのか思い出せ。周りの虫けらなど見るな、口を聞くな、踏み潰してやれ。我々が見ているものはもっと大きなものだ。
天を轟かせ、地を沸かし、海を黙らせる。それが剣咬の虎だ」
そう言った白い髭を生やし、首に巨大な数珠を巻いている大柄な男こそ、剣咬の虎マスタージエンマである。
「スティング」
「はい」
ジエンマに呼ばれたスティングは1歩前に出る。
「貴様にはもう一度だけチャンスをやる。二度とあんな無様な真似はするな」
それに対しスティングは軽く会釈をする。
「ありがとうございます。必ずやご期待に答えてみせます」
「ユキノ」
「はい」
今度はユキノがスティングと入れ替わるように前に出る。
「貴様には弁解の余地はねぇ。わかってんだろうな?」
「はい・・・私は、他のギルドの者に敗北し、剣咬の虎の名を汚してしまいました」
そう言うユキノに対し、ジエンマは持っていたブドウを投げつける。ユキノの頭にぶつかったそれは、紫の液体をユキノの髪につけ、床へと落ちる。
「んなことじゃねぇんだよ!!貴様は命を賭けて敗北し、あろうことか敵に情けをかけられた。この剣咬の虎がだ」
「はい。私はいかなる罰をも甘んじて受ける所存でございます」
ユキノの髪からさっきついたブドウの身が落ちる。
「では、全てを捨てろ」
「はい、仰せの通りに」
ジエンマにそう言われたユキノは自らの身に纏っている衣類を脱ぎ始める。
「ユキノ・・・」
「黙ってください、フロッシュ」
「・・・」
悲しそうな声を出すフロッシュにレクターがそう言い、キセキは見ていられずに目線を反らす。
そしてユキノは全ての衣類を脱ぎ、生まれたままの姿へとなる。その顔は恥ずかしさで赤くなり、大きな胸の膨らみは両腕で包むように隠されている。
「ギルドの紋章を消せ」
「・・・はいっ・・・」
ユキノはお腹に刻まれているギルドマークを自らの手で消し去る。
それに対して滅竜魔導士の3人は、1人はその様子を無表情で眺め、1人は顔を背け、1人は静かに目を閉じていた。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ