暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第155話 いつか届く、あの城に
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リーファは、リュウキと別れた後も、飛び続けた。自身の悩みは、まだ誰にも打ち明けていない。眠っているリュウキに聞いてもらったけれど。本当の意味ではまだ。
和人に対する気持ちはまだ変わっていない。
好きだという気持ちは変わってない。ドアの前でおやすみ、という時、朝、一緒に駅まで走る時。……いつもいつも、まるでふんわりと暖かい陽だまりのような気持ちを感じる。その分だけ、辛い涙を流すことだってある。本当の兄妹のままであれば、……そうでなければ、違う街に暮らす他人同士なら、と。
だけど、それでも……、想いが通じなくても。一緒に暮らせることだけでも幸せだと思う。
和人の心の全部でなくていい、その片隅、ほんの少し自分のための場所を作ってもらえればそれでいい。……そう、思える様になってきたのに。
あのパーティで和人がいつかは遠い手の届かない所に行ってしまう、そんな予感がしたんだ。
――……そんな事無い、関係ない。
と、偶然だけど、リュウキに言われて、心が少し軽くなった。でも、どうしても……。自分には、皆の記憶、《あの城》の記憶が無いのだから。
「っ!」
リーファは、その想いを振り払う様に、飛び続けた。どこまでも、この翅なら行ける。そんな想いがあったから。
しかし、そんなリーファの想いとは裏腹に……、とうとう世界の果てに、限界高度の壁がリーファの身体を捕らえた。加速が急激に鈍り、身体が重くなる。
そう、この壁よりもずっとずっと厚い壁が、かれらと自分の間にある。
それを否応なく思い知らされてしまった。手を伸ばしても、何も掴む事ができない。その先に行きたい、と強く思えば思うほど……悲しみが押し寄せてくる。
上昇速度がゼロになり、そしてマイナスになる。リーファは手を大きく広げたまま、夜空を自由落下していく。
――……どんどん、遠ざかってしまう。
「………そう、だよね」
リーファは、瞼を閉じた。
この世界、アルヴヘイム・オンラインより大きなVRMMO連結体に参加する計画がある様だ。手始めに月面を舞台にしたゲームと相互接続するらしい。そうすれば、より遠くまで、あの月まで飛んでいけるようになる。それをかわきりに、やがては世界と世界をも繋ぐ橋もできるだろう。
何処までも繋がっていく世界。何処までも行ける。
……でも。
リーファは、瞼を閉じたまま、現実を受け入れる様に胸に手を当てた。
落下していく中、冷たい風が頬を撫でていく。
その時、突然 体が何かに受け止められ、落下が止まった。
「――!?」
リーファは驚いて瞼を開けた。目の前に、キリトの顔があった。
「良かった。
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