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ある新米巡査の思い出
ある新米巡査の思い出
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、新米巡査が自販機のボタンを押して缶コーヒーを取り出す。
 一般人も利用する入り口近くに自販機が置かれるのはよくあるが、あまり行儀よくはない。
 だが、新米巡査がコーヒーを取り出すと同時に、彼が500円玉を投げて自販機に入れる。

「俺も同じやつ。
 釣りはとっておきな」

「はいはい。
 ほらよ。
 なんつーか……他に手はなかったのかよ……」

 新米巡査がコーヒーを投げて、二人同時に缶を開ける。
 一気に飲んだ彼はさっきと同じように、一発で缶コーヒーをゴミ箱に捨てた。

「あれだけの功績を立てて、あの位置に駄々こねている時点で日本警察官僚機構の問題になっているんだよ。
 あの人首を縦に振らないだけで、あちこちからスカウトがかかっているんだぞ」

「どこから?」

 半分ほど残して新米警官が尋ねる。
 それを飲み干して缶を投げ捨てるが見事に外れて、結局ゴミ箱まで行く羽目になるが、彼は気にせずに話を続ける。

「真っ先にアプローチかけて今もかけ続けているのが内調。
 政権党最大派閥のドンからは、『天下りの際に声をかけてくれればどこでも椅子を用意する。参議院ならば比例代表上位を約束する』と言われているとか。
 あの人は東大閥じゃない準キャリだから、警察庁非主流派は取り込みたくて仕方がない。
 主流派も何人もの警視総監から可愛がられたあの人の下で働いた連中が多いから、やっぱり恩返しがしたい。
 更に聞いて驚け。
 市ヶ谷も欲しがっている」

 内調こと内閣情報調査室が欲しがっているだけでなく、政治すら及びがかかるのを聞いて新米巡査はため息しか出ない。
 なお、そんな銭形警部も埼玉県警西大滝町派出所勤務で彼のようにこうして立っていた事を新米巡査は知らない。

「防衛省!?
 何であの人を欲しがるんだよ!?」

「さっきも言ったろ。
 あの人はカリオストロ公国の一件を始めとした、歩くパンドラの箱なんだよ。
 市ヶ谷はあの人をスパイマスターにしたがっている。
 ルパン逮捕に最大限の協力をするという餌をつけてな」

 話していた彼の警帽が取られたのはそんな時だった。
 彼の目には、その話していた人物が映っている。

「勤務中の私語は慎み給え……と言いたい所だが、付け加えをしておこう」

「っ!!!
 ぜ、銭形警部……」

「何でもとある筋から、それらの方々に付け届けと共にわしに便宜を測ってくれと頼まれたそうだ。
 搦手を使って、わしを外しに来たか!
 ルパン!!!」

 頭を掴んで一気に引っ張り上げる。
 すぽんと音がしたら、銭形の目には見慣れた顔が映っていた。

「ば〜れちゃ仕方ねぇや。
 せっかくとっつぁんに楽隠居させてやろうという俺の心づもり受け取ってく
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