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真田十勇士
巻ノ九 筧十蔵その十

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 白虎はこう話してだ、漁師達にあらためて言った。
「では私はこのまま近江を見る」
「では我等もまた」
「それぞれの調べる国に向かいます」
「ではまた会いましょう」
「駿府で」
「そうしようぞ」
 漁師達に別れの言葉も告げてだった、白虎は今は琵琶湖を見ていた。そうして何時しかその場から消えていた。
 家康は駿府を発ち自ら兵を率いて甲斐、そして信濃を攻めていた。その時に。
 陣を構えた時にだ。傍にいる四天王筆頭である酒井がだ、家康にこう報を届けた。
「殿、甲斐及び信濃の国人達は次々とです」
「徳川にじゃな」
「従うと言ってきています」
「それは何より、それで上杉と北条の動きは」
「どうやら上杉はです」
 酒井はまずこの家のことから話した。
「信濃の北を手に入れんとしていますが」
「それでもか」
「信濃の全てはです」
「手に入れようとはじゃな」
「思っておらぬ様です、むしろ」
「羽柴殿とじゃな」
「手を結んで安泰を考えておられる様です」
 家のそれをというのだ。
「どうやら」
「そうか」
「それに上野においてもです」
「北条家とか」
「揉めていますので」
「それでか」
「はい、信濃にはです」
 然程というのだ。
「入って来ない様です」
「では上杉家は大丈夫じゃな」
「そうかと、ただ」
「北条家はか」
「上野から信濃に入ろうとし」
「それに甲斐にもじゃな」
「入ろうとしています」
 そうだというのだ。
「あの国にも」
「では北条か」
「やはりあの家かと」
「半蔵を送ってよかったか」
 家康は酒井の話を聞いて述べた。
「あちらに」
「そうなりますか」
「十二神将は殆ど別の国に向かわせた」
「信濃や美濃に」
「うむ、実は羽柴家の動きが気になっていてな」
 それでというのだ。
「十二神将の多くを向かわせた」
「そうでありましたか」
「その介があったかどうかは」
「これから次第ですな」
 ここで四天王のもう一人榊原も言ってきた。四天王の知恵袋役と言っていい。
「やはり」
「そうであろうな、少し先じゃな」
「そうかと、ただ」
「ただ。何じゃ」
「それがしは柴田殿にお心を寄せていますが」
 榊原は自分の考えを述べた。
「ですが」
「それでもじゃな、わしもそう見ておる」
「柴田殿は敗れますな」
「羽柴殿と戦えばな」
「そしてです」
「羽柴殿は天下人に大きく進む」
 まさにそうなるというのだ。
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