3-2話
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鳥《チョコボ》に追い付かれて真横に並んだ。
「(は、疾ぇっ……!)」
真理谷の姿が見えなくなり、視界を遮るように巨体を接近させてきた怪鳥は…ギョロリ、とその双眸がはっきりとオレを捉えた。
―――ゾクッ!
怪鳥《チョコボ》の片目と視線が合う。
その瞳の鋭さに怖気が走り、恐ろしさが増幅した。
その直感は正しく、オレ達に追いついた怪鳥は猛然と嘴《くちばし》を振り上げた。
―――キンッ!
コカアァァ―――!?
「うわぁ!!」
「ぐあっ!!」
「ぎゃん!?」
強烈な衝撃を受けた。
怪鳥は体を大きく揺さぶって、まるで闘牛のようにオレ達にぶつかってきた。
人を三人分合わせたよりも体重も体躯も勝るその巨大な体から繰り出される暴力的な手段は、紙屑のようにオレ達を吹っ飛ばした。
「あ……ぐっ……」
「うぅ……」
このままじゃヤバイ。
三人揃って大きな怪我はしなかったものの、衝撃を受けた体はダメージを受けた。
振り上げた嘴は来なかった…だがそれでも、走る力を奪うには十分な威力。 体がズキンズキンと痛む。
もはや逃げる事すらできないほどどうしようもない状況に叩き落とされた。
今すぐにも泣き叫びそうになるほど恐怖で押しつぶされそうになる。
それでも……死にたくなかった。
視線を流せば…森の入口辺りで、岩肌を晒す崖に亀裂らしきものがあった。
木の根が作った僅かな穴なのか、それとも岩が重なり合って出来た隙間《スペース》なのかわからない。
あれが…今この場でオレ達に残された唯一助かる道だった。
「あ、あそこに逃げ込め!」
草を掴み、這ってでもこの危機から逃れたくて、必死にもがいた。
真理谷もCAも、ダメージを受けた体で何とか動こうとした。
「は、早く…早くッ…!!」
だが―――捕食者《ハンター》はそれを見逃すほど甘くはない。
オレ達のちっぽけな足掻きの芽すら摘み取る…冷酷にして、非常な天敵は狙った獲物は逃がさない、とばかりにオレの前に立ちふさがった。
その巨大な影でオレを覆い尽くし、二つの脚で仁王立ちしていた。
「あ…あ……ぁ…」
手足が動かなくなった。
真理谷の選択肢が正しかったのだろう…。
オレの取った行動は間違えていたのかも知れないけど…それを後悔する事もできない。
それほどまでに―――オレは絶望した。
―――ここまでのようね。
どこかで、誰かの声を聞いた―――。
女性の声だったような気がしながら……怪鳥《チョコボ》は嘴《くちばし》を振り上げる。
―――キンッ!!
ッ―――カアアァァ!!
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