3-2話
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
して、息も物凄く荒れてる…無我夢中《むがむちゅう》ながらもすんげぇ怖かったし、今のはかなりヤバかった。
草と木の枝が舞い散る中、オレはCAを呼びかけた。
「おい、大丈夫か!?」
「うっ…うっ、うあぁあ〜……」
よほど怖い思いをしたのか、一回りも年下なオレの前で泣き出し始めた。
いきなり大人の女性が目の前で泣かれるとかなり困る所だが……忘れてはいけない。
振り返れば―――嘴《くちばし》が迫ってきた。
「いっ!!?」
ゴオォォン―――!
轟音を立てて、傍にあった木が揺れた。
頭を沈めて咄嗟に避けていたから間一髪だったが……代わりに犠牲となった木の…表面が割れて嘴《くちばし》が食い込んでいた。
圧倒的な破壊力を見せつけた怪鳥《チョコボ》はギョロリ、と細い瞳孔をこちらに向けてきた。
その剥き出しの敵意が…殺意が……怖くて堪らない……!
「お、おい逃げんぞ! 立て!!」
もはや泣き喚かせる余裕なんかありはしない。
涙目で顔をクシャクシャにさせたCAを強引に立たせて、今すぐにでもここから逃げなければならなかった。
「ムッ…ムリ……た、立てな、ぃ……」
「(オイオイ、勘弁してくれよっ…!)あーっ、くそっ…!!」
もはや、しのごの言ってられなかった。
完全にお荷物状態なCAの体を肩に担いで逃げる事にした。
「あぁっ!」
バレー部所属だから一応体力がある方だが、女性一人を抱えるというのにはかなりの負担だった。
しかし、もはや投げ出す事は出来なかった。
そうなればもう死に物狂いで走る以外に選択肢はない。
「はぁ、はぁ…はっ…!!」
木の表面に嘴《くちばし》が食い込んでいた怪鳥《チョコボ》は、抜くのに手間取っているのかわずかに時間が出来ていた。
逃げる足先は真理谷の方。
するとそこには、片足を引き摺って何とか走ろうとする真理谷がいた。
「バカめ…死んだな仙石………って!? せ、仙石!? こっちに来るんじゃない!!」
「うっせぇーーー! なんだよ、走れんじゃねーかテメェー!!」
「ま、巻き添えにするなー!!」
今更そんな事言っても遅い。
今は方向を変えるより足を揃えてでも、一秒でも前へと走るため一緒になって死に物狂いになって走る。
コアァアァァァア―――!!
咆哮《ほうこう》のような怪音。
「あ…あぁ…う、後ろ……ッ!」
肩に担がれたCAの竦んだ声と恐ろしい鳴き声に誘われて後ろを振り返る。
だがそれよりも前に、オレと真理谷の間に大きな影が割り込んできた。
あっと言う間の一瞬。
わずか数秒でも距離は開いたはずだったのに…死に物狂いで走って突き放したのに、怪
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ