3-2話
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「逃げるんだ、今のうちに…」
肩を貸してやってる真理谷がそんな事を言い出した。
「急げ、あの女が襲われている今なら…」
確かに…怪鳥《チョコボ》は一羽だ。
それがあのCAに気を取られている今なら逃げ出せるだろう………だけど。
「ああ! ああぁあーーー!!」
そうなったどうなる?
CAは必死に悲鳴を上げて、怪鳥に襲われて命の危険に晒されているのに……。
なのに、オレはどうする?
「どうした…仙石!? 逃げるぞ…!」
に、逃げる…?
それってつまり……あの女の人を“見捨てる”という事か?
そうなったらどうなる? あの怪物のような鳥の傍に置き去りにしたらどうなるってんだ!?
喰われる……のか、そうでなくても……殺される…!
何かが―――オレを突き動かした。
「!?」
真理谷に手を貸すのをやめ、怪鳥《チョコボ》とCAの方に向かって踵《きびす》を返した。
片足が利かず、草の上に倒れた真理谷が地面に沈む。
「せ、仙石…!? お前、何を考えて……ま、まさか」
頭のイイ真理谷だ、すぐにオレの考えている事に察しが付いた。
「ぼ、僕は嫌だぞ! あんな女放って僕らだけでも……!!」
ああ、そうだろう…命は惜しいだろうさ、オレだって死にたくない。
怖くて体が震えているのがわかる……だけど恐怖を押し殺してでも、オレはそれが嫌で嫌で仕方なかった。
「うっせぇよ……だ、黙ってろ……!」
無謀にもオレは駆け出した。
背を向けているとは言え、あの猛獣のような怪鳥《チョコボ》に向かって走り出した。
「せ、仙石ーーー!!!」
震えながらも足は動いていた。
今までここまで必死に…そして速く走った事はない。
それでも…あの怪鳥《チョコボ》からCAを助けられるか?
間に合え―――!!
クアッ―――!?
気付いた! ヤベッ…!!
怪鳥《チョコボ》はオレの気配にすぐ気付いた。
巣に置かれているCAからオレへと意識を移し、あの猛禽類《もうきんるい》のような獰猛な目を向けた。
気付けば当然攻撃される。
その事に理性《あたま》より本能《からだ》が先に危機感を感じた。
今更走るのは止められない。
止まったヤラれる…そう直感したオレは、目を瞑って野球のヘッドスライディングのように飛び込んだ。
カアアアァァァッ―――!!
頭上でハンマーをフルスイングしたような風が通り過ぎていって、オレは草むらの上を滑った。
「ぐうぅぅう………だああぁあ!」
巣に突っ込んで、我武者羅《がむしゃら》にCAを抱き留めた。
心臓が激しく動悸《どうき》
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ