暁 〜小説投稿サイト〜
探し求めてエデンの檻
3-2話
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「逃げるんだ、今のうちに…」

 肩を貸してやってる真理谷がそんな事を言い出した。

「急げ、あの女が襲われている今なら…」

 確かに…怪鳥《チョコボ》は一羽だ。
 それがあのCAに気を取られている今なら逃げ出せるだろう………だけど。

「ああ! ああぁあーーー!!」

 そうなったどうなる?
 CAは必死に悲鳴を上げて、怪鳥に襲われて命の危険に晒されているのに……。

 なのに、オレはどうする?

「どうした…仙石!? 逃げるぞ…!」

 に、逃げる…?
 それってつまり……あの女の人を“見捨てる”という事か?
 そうなったらどうなる? あの怪物のような鳥の傍に置き去りにしたらどうなるってんだ!?
 喰われる……のか、そうでなくても……殺される…!


 何かが―――オレを突き動か(否定)した。


「!?」

 真理谷に手を貸すのをやめ、怪鳥《チョコボ》とCAの方に向かって踵《きびす》を返した。
 片足が利かず、草の上に倒れた真理谷が地面に沈む。

「せ、仙石…!? お前、何を考えて……ま、まさか」

 頭のイイ真理谷だ、すぐにオレの考えている事に察しが付いた。

「ぼ、僕は嫌だぞ! あんな女放って僕らだけでも……!!」

 ああ、そうだろう…命は惜しいだろうさ、オレだって死にたくない。
 怖くて体が震えているのがわかる……だけど恐怖を押し殺してでも、オレはそれが嫌で嫌で仕方なかった。

「うっせぇよ……だ、黙ってろ……!」

 無謀にもオレは駆け出した。
 背を向けているとは言え、あの猛獣のような怪鳥《チョコボ》に向かって走り出した。

「せ、仙石ーーー!!!」

 震えながらも足は動いていた。
 今までここまで必死に…そして速く走った事はない。
 それでも…あの怪鳥《チョコボ》からCAを助けられるか?

 間に合え―――!!


 クアッ―――!?


 気付いた! ヤベッ…!!

 怪鳥《チョコボ》はオレの気配にすぐ気付いた。
 巣に置かれているCAからオレへと意識を移し、あの猛禽類《もうきんるい》のような獰猛な目を向けた。

 気付けば当然攻撃される。
 その事に理性《あたま》より本能《からだ》が先に危機感を感じた。

 今更走るのは止められない。
 止まったヤラれる…そう直感したオレは、目を瞑って野球のヘッドスライディングのように飛び込んだ。

 カアアアァァァッ―――!!

 頭上でハンマーをフルスイングしたような風が通り過ぎていって、オレは草むらの上を滑った。

「ぐうぅぅう………だああぁあ!」

 巣に突っ込んで、我武者羅《がむしゃら》にCAを抱き留めた。
 心臓が激しく動悸《どうき》
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