3-2話
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、男なのか女なのかも判別が付かない声。
いや!この際なんだっていい!
誰でもいい、とにかく人はいたんだ! オレ以外にも助かったヤツがいたんだ!!
声のする方に足を急がせる、ただそれだけを考えて走る。
間もない内に、抜け出せなかったはずの森から外へとオレは飛び出した。
「―――………!?」
光の下に広がる開けた空間。
そこで見たモノに、オレは凍りついた。
「は……はぁ…!? な、なんだ………これ…?」
オーーイ…オーーーーイ―――。
打つように声を鳴らす存在は目の前にいた。
たしかに、ソレは人を呼ぶ声を叫ぶ―――だが…それは決して“人間”ではなかった。
「―――と、鳥……!?」
それは鳥のような姿だった。
羽毛を蓄えた翼、人間と違い逆の方向に曲がる足関節、爪のように硬そうな嘴《くちばし》。
頭にあるイメージとは違いながらも、全体の特徴からソレが何となく鳥だと思わせる。
だが、その見た目は鳥でありながらも異常そのものだった。
鳥であって、それは鳥ではない。
「デ、デケェ……本物かよ、これ…? チョコボみてぇだな、こいつ……」
オレの二倍ほども身長…二メートル、いや…二メートル半は超えそうなソレを見上げてそんな事を口走った。
その姿は某ロールプレイングゲームに出てくる架空の生物を連想させた。
鶏よりも退化した翼らしき部位、荒野も草原も駆け抜けるような逞しい脚、鷲鼻《ワシばな》に似た幅広の大きな嘴《くちばし》。
共通点は多く垣間見えるが、その目に浮かぶ凶暴性と見上げるような体躯《たいく》からは異常性が窺えた。
オーーィ―――!
鳴き声か人の声が聴き違えてしまえそうなソレは、目の前の鳥らしき生き物から発せられていた。
オレを呼んだ……いや、誘ったのは人間ではなく、コイツだったって事だ。
現実離れしていた。
ぬか喜びを感じるよりも、ただ目の前の存在に圧倒された。
オレはこの時、正気ではなかったのだろう。
「え、えーと……写メ、写メ……」
心が揺れる事も危機感を覚える事も忘れ、間抜けにも携帯電話を取り出して…その未知の生物を画像に収めようとしたのだ。
カメラモードにしてディスプレイ越しに怪鳥《チョコボ》を覗き見た。
カッカカカカカ―――!!!
ディスプレイの中の怪鳥《チョコボ》は、怪音を鳴らしながら片足を持ち上げた。
それを後ろへとバックスイングさせると、一瞬にしてブレて消える。
「え?」
カメラのコマ送りで見失う片足の影。
ディスプレイの外で、ナニカが急速に迫ってくる。
顔に向かってくるソレに「ぶつかる」という
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