3-2話
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という文字が無慈悲にも映し出されていた。
「ハッ……」
その二文字を見て、オレは乾いた笑いが漏れて呆けた。
それはそうだ…この携帯は海外にまで対応したものではないし、そもそもこの島にアンテナとかあるわけもない。
そんな事すら思い至らない自分が本当にバカに思えた。
「やっぱダメか…ハハ……バカみてぇ…オレ…」
天国から地獄に突き落とされた気分で、かなり落ち込んだ。
水分補給で回復したはずの気力も萎えて、近くにあった岩を背に預けた。
思い出したように疲れた足も膝から力が抜け、ズルズルと岩肌に背中を擦らせながら腰を沈ませる。
「本当ならとっくに家でメシでも食ってる時間だよな…おふくろのヤツ、心配してるだろうな…」
おせっかいながらもバカやっているオレをいつも見守るように気にかけてくれる母親の事だ…ヘタしたら泣かしてるかもしれない。
いや…もしかしたらそれ以上かもしれない…それほどまでに、どれだけ心配させているか想像もつかない。
こんな事になるなんて夢にも思わなかった…。
孤独が心をどこまでも苛《さいな》む。
人がいないという事実がオレを孤独にさせ、心の中で自分以外の知り合いを連想し続ける。
考える…不安から逃げるように他者を心に思い浮かべる事で、不安に疑問が色付き始めた。
なぜオレ一人だけ取り残されたのか…もしかして、自分一人だけ助かったのでは…?という考えに変化してきた。
「(そんなはず、ない!)」
かぶりを振る。
友達やクラスメート、そして幼馴染《りおん》の事が気掛かりになって落ち着かない気持ちが胸に落ちてくる。
自分以外の人の痕跡であるキャップ帽を握り締めた。
不安と孤独で心がバラバラになってしまわないように―――。
「………!」
咄嗟に全神経を集中させた。
感覚が拾ったわずかな情報に、身体に喝が入る。
「今…何か聞こえ……」
葉鳴りに混じっていたけど、五感の内の感覚が反応したのは“聴覚”。
それはすなわち…。
オーーーーイ……―――。
「人の声だ!」
間違いない。 幻聴ではない。
かなり遠くからだけど、オーイ…って人を呼ぶ声を放っている。
それを聞いてオレは、会心の思いが口から溢れ出た。
「ッシャアアァァッ!!!」
弾けるように動き出す。
「おーい!!」
こちらからも呼びかけながら、声のするの方向に走る。
オーーーーイ……―――。
「おーーい!!」
返す声に何度も呼び返す。
聞いた事のない声だった。
エイケンでもない。 コーちゃんでもない。 りおんでもない。
大人なのか子供なのか
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