外伝
外伝・少年の目指すモノ
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り付かされていたように動くことのなかった足は、彼女の輝きに溶かされていた。
彼女を庇うように、もう彼女が、彼女だけが立ち向かう必要がないように、ただそれだけを思っていた。
ただそれは勇敢な行いなんかじゃなく、ただの無謀だった。
俺の登場に気を取られた彼女の腕が止まる、その隙を化け物は見逃さなかった。迫りくる触手の動きがやけにゆっくりと感じられた。何も出来ず、ただただ貫かれることを待つ。それでも少しでも彼女が怪我をしないように盾になるように立ち塞がる。
怖かった、死んでしまうんじゃないかと思ったことが。でもそれ以上に、チカラの無い自分が悔しかった。
目は瞑らない、少しでも後ろの女の子の気高さに追いつけるかもしれないと思って。
やがてその時は訪れる、俺の目の前に迫って来ていた触手がピンク色の閃光に掻き消された。そして立て続けに化け物の本体にも同じような光が突き刺さる。彼女がいくら吹き飛ばしても再生していた化け物はあっさりとうめき声を上げながら消失し、最後には小さな宝石のような石ころだけが残った。
この時が、彼女達と出会ったこの時こそがきっと運命であったと思う。
その後は大変だった、あの化け物がジュエルシードとかいうもんのせいだとか、魔法使いに魔導士だとか、次元世界だとか世界の危機だとか、クローンがどうとか。正直、あの事件の時、俺はあまり関わることが出来なかったから詳しいことは分からない。
でも、いやだからこそ、俺は悔しかった。始めに彼女に出会った時から何も出来なかったことが。もし俺にも魔法が使えたら、もし俺にもっとチカラがあったなら、あの事件はもっとハッピーエンドを迎えられたんじゃないのか。
そこから俺は我武者羅だった。魔法が使えないと分かると、武器を持とうと思った。幸いにもあの事件の時に友達になった子の父親が道場をやっていたから、そこで鍛えさせてもらうことになった。武器を持つと、質量兵器(つまりは物理的に戦うような道具)は次元世界ではしよう禁止と言われた。なら、質量兵器でも魔法と同じようなダメージを与えられるようにすればいいと思った。彼女達魔導士は平然と空を飛んだ(もっともこれは後になって全ての魔導士が飛べるわけじゃないことを聞いたけど)、ならば自分も空を跳ぶ必要があった。
空を跳ぶのは練習してたら出来るようになった。師匠達も俺と一緒にやって出来るようになってたからそこまで難しいことじゃないと思う。でも魔法と同じようなダメージを与えるのは難しかった。ようは肉体を傷つけることなく、魔力にだけダメージを与えればいいということだけどなかなか上手くいかなかった。
一度だけ、たった一度だけ成功したことがある。その時の事は無我夢中でよく覚えていない。でもそのおかげで大切な人達を守ることが出来た。
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