32.いつかは猫の恩返し
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ラッキーくらいに思っておけ!」
「失ったものがある時点でアンラッキーだにゃ」
閑話休題。十分な量のカツオブシを削ったリングアベルは、ミネットにそれを差し出す。
「出来たぞ。しかし、本当にこれで俺も『ねこねこネットワーク』を利用できるようになるのか?」
そう、今日リングアベルはミネットから『ねこねこネットワークの使い方を教える』と呼び出されたのだ。カツオブシはそのために必要らしいが、果たして自分が猫と会話できるところなど想像も出来ない。
ミネットはカツオブシの香りに涎を呑み込みつつも説明する。
「アスタリスクの加護がにゃいからあくまで限定的に、だにゃ!このリングアベルの匂いがついたカツオブシと、後は……これを身につけるにゃ!」
「こ、これは………猫耳カチューシャ?」
非常に軽い金属で作られた黒いカチューシャには猫の耳を彷彿とさせるトンガリがあり、女の子がつけたらさぞ似合うであろうという妄想を掻きたてられる。
だが、ミネットには自前の猫耳があり、この場に他の人間はリングアベルを於いて他にはいない。……という事は、まさか。
「ひょっとして、俺が付けるのか?」
「そうにゃ!」
さぱっと答えるミネットの笑顔が、心の汚れたリングアベルには眩しい。
これで相手がミネットでなければ「何が悲しくて男が猫耳などぉぉーーッ!!」と血涙を流して相手を揺さぶった後に、持って帰ってそっとヘスティアの頭にそれを設置して楽しもうとするだろう。しかし、相手は幼気な女の子。その相手に付けろと言われて断れるほどの「否定する勇気」は持ち合わせていない。
「ミネットのニオイをたっぷり染みこませたカチューシャだから、猫たちもこれを付ければミネットの仲間だって分かってもらえるにゃ。……ねこたちがリングアベルのニオイを覚えるまでは洗っちゃ駄目だから気を付けるにゃ」
「あ、ああ……了解した」
理論的には言いたいことは分かるが、何故か変態チックな気分にさせられるリングアベル。これもまた彼の心が汚れているが故の戸惑いなのだろう。カチューシャの匂いを嗅ぐといったフェチ趣味は持ち合わせていないため、素直にそれを頭に装着する。
「よし、にゃ!それじゃあ………ねこたち〜〜〜!!」
「にゃう?」
「ふみゃー!」
「みゅ?」
「臨時カツオブシパーティの前に発表があるにゃ!会合に参加してないねこには参加したねこが伝えるにゃ〜〜!!」
この町のねこの頂点たるミネットの有り難いお言葉に猫たちが「にゃにゃ〜!」とひれ伏してゆく様は何ともシュールだが、ねこプリンセス・ミネットが小さいだけあって絵本のワンシーンのように可愛らしい。
「ここに、ミネットの友達リングアベルがいるにゃ!リングアベルは
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