32.いつかは猫の恩返し
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ほら、あーん」
「ええ〜!?ちょ……子供じゃないんですから!恥ずかしいですって……!!」
「でもフォーク落としちゃったじゃない。ほら、遠慮しないで……」
顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を振るティズの姿は純朴で可愛らしかった。
もっとも、アニエスには何故か冷たい目線を突き刺され、エアリーには「何知らない女とイチャイチャしてるのっ!」と怒りのオーラをぶつけられ、周囲の客には「うらやまけしからん」と嫉妬の視線を浴びて四面楚歌だったが。
(なんか弄り甲斐があるわね……また弄りに来ようかしら♪)
是非ともやめてあげて欲しいものだが、生憎今の彼女にそんな箴言をする人物はいなかった。
= =
有史以来、人類は様々な物質を加工し、追求してきた。
中でも食糧に対する執着は凄まじく、開拓された食料の運用法は数えきれないほど多岐にわたる。
すなわち、台所の魔法とも錬金術の開祖とも言われる神聖なる儀式――『料理』だ。
元ある食品を加工し、新たな味、香り、触感……すなわち「美味しい」を創造する。
「しかし、ミネットは思うのにゃあ……数ある偉人の中でも、カツオブシの作り方を考え出した人は猫に神様と崇められてもおかしくにゃいと!!」
と、顔も知らない神を崇め奉るミネットを横に、リングアベルはシャコシャコと削り節(カツオブシ削り器)でカツオブシを削っていた。周囲には既にミネットに挨拶しに来た猫たちが節を今か今かと待ちわびている。中には涎を垂らして待っている子もいた。
「む、猫のヨダレは口の中を患ってる証拠にゃ!このポーションを飲むにゃ〜!!」
「フギャーー!?」
「こらー!苦いからって逃げようとするにゃー!!」
「ウゥゥーー……フシャーッ!!」
「にゃに?ドーブツギャクタイで訴える?意地張ってないでとっとと飲んで治すのにゃッ!!」
……ご飯に期待して垂らしていたわけではないらしい。流石はミネット、猫の事なら何でも知っているらしい。今も周辺の猫に取り押さえられたヨダレ猫にまずーいポーションを飲ませている。アスタリスクの力なんかなくとも猫とは通じ合っているので、案外ファミリア内のポジションも変わってないらしい。
今は猫型の「迷宮の弧王」を探してビスマルク達と共にダンジョンに潜っているらしい。あんなことがあった後でも元気なようでリングアベルは安心した。
「ガネーシャ殿とはどうだ?甘えられているか?」
「最近は休みの日に日当たりのいいところで一緒にお昼寝するにゃ!………みんなも優しいままだし、こんなことならアスタリスクの力につられて妖精の話に乗るんじゃなかったにゃ……」
「……ま、まぁまぁ!真に大切なものは何一つ失っていないのだから
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