三十話:想いと日常
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本編でシリアスは余り書きたくないと思っているのでおまけで書きます。
本編でこの設定が活かされる時が来るかは不明。
おまけ〜どこかの誰かの御先祖様の記憶〜
満足気な笑みを浮かべる一人の女性の眼下に広がるのは一面の火の海。
彼女が兵に行わせたシュトゥラの『魔女の森』の焼き討ちの成果だ。
兵は敵に倒されたようだがはなから戦力にはならない老兵を選んでいたので問題は無い。
「ここからだ。ここから聖王連合への反抗が始まる」
彼女は他の諸国にも手を回し反乱の書状を送っていた。
時機に多くの国々が行き詰った時代を変えるべくそれまでの支配者である聖王連合へと牙をむくだろう。
元々威嚇による圧制に反抗する心は多くの国と民が持っていたのだ。
今回はその引き金を引いてやったに過ぎない。
「どうせこのまま戦争を続ければ共倒れだ。ならば死ぬまで踊り狂おうではないか」
彼女はそれだけ言い残し馬を駆けさせその場から去る。
シュトゥラは民と王族との結びつきが強い。今回のことで民の心が離れることは無いだろう。
だが他の国は別だ。圧制を強いている国や度重なる戦に疲れ果てている国がある。
そこの民を煽り王族への不信感を植え付けさせ反乱を起こさせる。
か弱な民では国は倒せない。だが確実に国の力と心を蝕んでいく。
うまくいけば軍が民に寝返ることもあるかもしれない。
「憎しみの連鎖は終わらない。ならばせいぜい利用させてもらうとしよう」
誰もが、学のない民ですら頭ではこのまま戦争を続ける意味がないことは分かっている。
だが止まらない。止まれない。
心が決して相手を許さないからだ。
夫を返せ! 父を返せ! 息子を返せ! 娘を返せ!
怨嗟の声は止むことなく響き続ける。それがこの時代だ。
自らが率いる騎士団に戻り彼女は剣を振り上げ声を上げる。
「この先に居るのは我の父と汝らの父を殺した者達だ。
まだ見ぬ汝らの子を殺す者達だ。我らが祖国の誇りを踏みにじる許されざる者達だ。
故に今宵の汝らへの命令は一つだけだ―――殺せ! 殺して殺して殺し尽せッ!
穢れた大地を奴らの血で洗い流せ! 我らの手で仇を討つのだッ!!」
『オオオオオオッ!』
くすんだ夜空に兵士の雄叫びが木霊する。
そして彼等は火計に乗じてシュトゥラ本国へと攻め込んでいく。
その先頭を行きながら彼女は一人邪悪な笑みを浮かべ呟くのだった。
「卵が先か鶏が先か……それは分からんが今回ばかりは我らが先のようだな、聖王連合」
もはやこの戦乱がどちらの手により引き起こされたものかさえ誰にもわからない。
しかし、彼女は今この瞬間だけは自分が歴史を動かしているのだと確信し満足げに笑うのだった。長い金
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