暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
主君の守り手
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子がこちらに―――正確には女の子に向かって―――振り返った。

「おい、だいじょうぶか?」
「う、うん。なんとか。」
「!?貴方・・・!」

 その時初めて男の子の顔を見た。その面影は誰かにそっくりで・・・

「わぁ・・・みてみて!」
「ん?・・・ああ。」

 相変わらず私を無視して、女の子が広い野原を見て何やら感動している。男の子の方も冷静を装っているけどその目は釘づけ。確かに綺麗と言えば綺麗だけど、そんなに感激するものかしら?

「わたしたち・・・ホントにでてきちゃったんだ。」
「・・・ああ。」
「ねぇ、うえにあるキラキラしてるのってなに?」
「しらん。」
「じゃあ、あのまるいのは?」
「しらん。」

 星や月を知らないってどんな子どもよ・・・って、

「何で月が一つしかないのよ!?」

 ようやく私は違和感に気付いた。同時に、この感覚が初めてでないことも理解する。見覚えのない光景、まるで自分だけが取り残されたような・・・。

「また、この夢・・・。ってことは、やっぱり。」

 目の前の男の子、まさしく幼くしたカケルにそっくりだった。つまり私は、またカケルの過去に来たってわけね・・・。

「にしても、アンタ子どもの時からこんな感じなのね。しゃべり方とか今とそんなに変わらないじゃない。」

 ま、まあ、ちょっと可愛くはあるけど・・・。

「これから、どうするの?」
「ん?そうだな〜。しばらくはあいつらから逃げることを考えた方がいいな。」
「それから?」
「それからって・・・お前の好きなことをすればいいさ。」
「あなたは?」
「俺は・・・。」

 言われてカケル(リトル)は黙りこくっちゃった。

「お前はどうしたい?」
「わたし?う〜んとね・・・とおくにいきたいな。ここよりもずっとずぅぅぅっととおくに!それで、もっといろんなものをみてみたい!」

 そうかと相槌を打ったカケルは、その小さな体で更に小さな体を抱き寄せた。

「なら、俺も一緒に行こう。」
「え・・・?」
「俺も一緒に行こう。で、お前を守ってやる。これから先、どんなことがあっても俺はお前の味方でいてやるから。」

 女の子は最初キョトンとしてたみたいだけど、やがてその温もりを確かめるようにギュッとカケルの胸を握り返した。

「うん・・・ありがとう、お兄ちゃん。」



 そっか・・・これ、カケルたちが兄妹になった時なんだ。

 私は二人に歩み寄ってそっと抱き寄せた。触れることは出来ないと分かっていても優しく包み込むように。

「ごめんね。貴女のお兄さんを少し借りるわ。でも約束する、この人が私を守ると言ってくれたように、私もきっと彼を守ってみせるから・・・。」





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