暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
主君の守り手
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が再び激しくぶつかり合った。見た目では明らかに架の方が不利な戦い。だがルイズは、

「皇太子さま、こちらへ!」

 架の言う通り、ウェールズを礼拝堂の隅まで避難させていた。連れられながら、それを意外そうな表情でウェールズは見ていた。

「心配じゃないのかい?彼が。」
「・・・心配に、決まっているじゃありませんか。」

 問いに対し少し俯いたルイズであったが、それでもすぐに顔を上げるとはっきりと答えた。

「でも、アイツなら何とかしてくれる。ならば私は、自分に出来ることをするだけです。」
「なぜそう言えるのかね?」
「カケルは私の使い魔ですから!」

 ニッコリ笑ってルイズは言った。
 自分に出来ることは、使い魔である彼を信じることだけ。それは、かつて級友であるタバサから教えてもらったことであった。しかし今のルイズなら、しっかり自分の言葉として言うことができた。

「(全く、本当に君たちは・・・)」

 うらやましいほどの信頼関係だな、とウェールズはボソリと呟いた。

「ふむ、とはいえ片手というのは流石にやりにくかろう。少し援護するか。」
「皇太子さま!」
「何、別に攻撃するわけではない。ミス・ヴァリエール、済まないが少しの間見張りを頼めるか?」

 そう言うと、ウェールズは徐に詠唱を始めた。それは、ルイズも聞いたこともない呪文であった。





「そらそらどうした!?動きが鈍っているぞ!!」
「・・・ちっ。」

 実際、形勢はワルドの方に傾いていた。以前手合せした時はお互い手加減をしていたが、やはり利き腕が使えないことが手痛いハンデとなっていた。

「そういえば君は魔法が使えないようだな。」
「それがどうした。」
「風の使い手は風を起こすのだけが武器ではないのだよ。それを教えてやろう。」

 後方に飛んだワルドはその間に呪文を完成させた。

「『偏在(ユビキタス)』」

 すると、架を囲むように5人のワルドが現れた。

「分身か・・・」

「ふふ、唯の分身ではないのだよ。」
「我々はそれぞれで思考し行動することができる。」
「加えて・・・」

 ワルドの一人が魔法を放ってきた。それを架は後退して避ける。

「杖も分身しているからね・・・。魔法も複数放てる。」
「つまり・・・」
「君は5人のスクウェアクラスのメイジを相手するというわけだ。」

「(せめて、右腕だけでも動ければいいんだが・・・)」

 架がさらに追い込まれたことを感じていると、

「『風よ、彼の者を癒せ!!』」

 一陣の風が礼拝堂に吹き抜けた。

「何?」
「これは・・・ウェールズか?」

 風はウェールズの持つ杖から出ていた。風が優しく架を包み込むと、
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