虎と龍の舞う終端
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居た。
笑顔を浮かべて送り出した戦士達。短い間だが絆を繋いだ。
いい奴等だった。楽しかった。支えられていたのだ、彼らに。
それがまた無に帰した。少女はまた全てを失った。
赤い髪の少女は動かない。
近寄ってくる動物にも癒されることなく、宙を見据えて動かない。
「……恋殿」
耐えきれない、と小さき軍師は思った。
このままでは壊れると思った。
泣くまいと決めていたのに泣いた。それでもこの張り裂けそうな心はどうしようもなかった。
「あいつらの笑顔の意味を……思い出してくだされ」
語り掛けても無意味だ。愛しい人は壊れている。人形に話し掛けても、答えなど帰ってくるはずがなかろうに。
「あいつらの命の重さを……思い出して、くだされっ」
また涙がほろりほろり。
嗚呼ダメだ。もう止められそうにない。漏れ始める嗚咽を抑え付けて……ねねは恋を真っ直ぐに睨んだ。
「あいつらはっ……ねねと、恋殿の為にっ……命を捧げてくれたのですぞっ!」
引き裂かれそうな心を抑えて、ねねはあの時に笑顔を浮かべた。
せめて最期くらいは、自分の笑顔を覚えていて欲しかったから、と。
自分のせいで散らしてしまった命達。重責が圧し掛かる心は何時でも悲鳴を上げる。
結局は復讐。個人的な欲望の為に他者を利用している自分は、大嫌いだった者達と同じになっているのだ。
それが嫌で嫌で、でももう止まれなくて、止まりたくもなくて、走り続けるしかなくなった。
されどもやはり、胸が痛かった。
自分達の為に命を捧げてくれる彼らを見ると、どうしても……。
「うくっ……っ……お願い、なのですっ……」
襟を手で掴んで揺すった。
赤い髪の少女はねねのことを見なかった。
「れん、どのぉ……お願い、なのですよ……ねねは……」
俯き、零れる涙の雫は次々と彼女の衣服に吸い込まれていく。
「ねねは、もう……一人は……いや、なのです……」
かさり、と木の葉の音が幾重。
動物達が急いで離れて行く。
泣きじゃくる少女は気付かず、赤い髪の少女に縋りついたまま。
近付く気配に気付いて赤い髪が揺れる。
来た、と一言だけ残して立ち上がり……ピタリと動きを止めた。
何故、敵を殺しに行かないのかと小さな少女は不思議に思った。
赤い髪の少女はそのまま座り、また動かなくなった。
疑問が浮かんで、小さな少女は涙で揺れる目で辺りを見回した。
ぼやけた視界が少しずつ晴れて行く。
そうして晴れた先で、彼女の目からはまた雫が流れ始めた。
引き裂かれた口は不敵で、爛々と輝く目は期待に満ちていて、送る視線は暖かく。
彼女は、歯を噛
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