同族
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を脱出する際、僕とリインフォースは怪我で気を失ってしまったんだ。それから色々あってラジエルに助けられたらしいんだけど、どういう経緯があったのかは知らない。だから僕もサバタさん達の行方はわからない……。ごめん、役に立てなくて』
「う、ううん、ユーノのせいじゃないよ。それにリインフォースが無事だってわかっただけでも十分だよ」
『……本当に……ごめん』
通信を切る最後まで、ユーノは何かを悔やんでいた。一体あの世界で何があったのか、それはニダヴェリールにいた人達にしかわからないのかもしれない。ファーヴニルの件では私達も当事者のはずなのに、なぜか蚊帳の外にいるような錯覚を覚える。
それも当然だ。私達は……真相を何も知らない。だからこの事態の中心から弾き出されている。お兄ちゃん達の立っている場所に、私達は手が届いていない……。ならばせめて指先だけでも届くように足掻くしかない。
「……よし。せめて外にアンデッドが出て来る事だけでも防がないと、格好がつかないよね」
それからしばらくの時間をかけて、中央ブロックの他の場所に分散していたアンデッドを探しては全て駆逐していく。やがて社内で暗黒物質の気配が無くなり、そのまま進行を続けて奥にある厳重な扉を開ける。
「うわ、広っ!?」
扉の先には姉さんが唖然とする程の光景が広がっていた。そこは上下合わせて10階以上のスペースをくり抜いて作られた空間があり、中央には時の庭園にあった魔導炉の何倍もの大きさの転移装置が鎮座していた。
「なんか……どこぞの未来から機械人間がやってきそう」
「アイルビーバック(グッ)」
姉さんがわざと筋肉質な低い声で、何かに沈むような動作をしながらグーサインを出した。そういえばジュエルシード事件の頃、はやての家でその映画も見たなぁ。液体金属で出来た機械人間の相手はごめんだけど。
「まぁとにかく、これで本局への移動手段を確保する事が出来た。念のために皆へ連絡を――――ッ!?」
連絡を取ろうと思ったら突然、凄まじい濃度の暗黒物質をまとった魔力弾が飛んできた。咄嗟にミッド式ゼロシフトで回避し、体勢を翻して攻撃してきた方に視線を向けた瞬間、私はあまりの衝撃でマヒしたように全身が硬直する。……いや、今の本局からやって来たものと言えばアンデッドしかないんだけど、そのアンデッドの姿を見た瞬間、頭の中が真っ白になってしまったのだ。
「え……う、嘘……こんな事って……!」
「そんな……き、君は……!」
わなわなと震える指で私が指し示したのは……、
“私”……だった。
……否、正確には顔が姉さんとほとんど同じ見た目のアンデッド。しかしその身体は異形そのものとなっており、狂気で血走った赤い目に、ナニカを食べたような血まみれの口、
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