同族
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だけど今は避難していて誰もいない…………なんてことは無かった。驚いた事に彼らは何故か管理局の避難命令を聞かず、受付や警備、掃除などに必要最小限の人数を割き、他の社員は全員一体となって何かの開発を行っているようだった。それだけなら別に構わなかったのだが……しかし、私達が訪れた時、どういう訳か社内で異常が発生していた。
『WARNING! WARNING!』
『EMERGENCY! EMERGENCY! 社員、及び研究員は直ちに脱出せよ!』
『現状報告、敵性因子は中央ブロックに封鎖! 全員、中央ブロックを避けて地上へ退避!』
社内の放送とモニターに赤く表示される文字に、緊急事態が起きていると察する。ただ、明確な破壊跡や破砕音こそ無いものの、この異常な殺気と重苦しさは姉さんも感じており、ただならぬ事態だと全身が伝えて来ていた。
でもどういう事だろう? このタイミングでアレクトロ社が襲撃される理由が全くわからない。私と姉さんが動けなかった代わりに、母さんとアルフはエレベーターや非常階段から急いで逃げている人達から何とか事情を聞いてくれたけど、戻ってきた時の二人の表情はすぐれなかった。
「最悪だわ……いえ、むしろこの事態を思い付けなかったこっちのミスね」
「え? 母さん……一体何が起きてるの?」
「……アンデッドだよ、フェイト。本局にもアンデッドが送り込まれていたんだ……!」
「そ、それって……ニダヴェリールでラタトスクが使った手段と同じ!?」
姉さんも驚くほどの事態だが、私はアースラでラタトスクの話を聞いた時点で気づくべきだったかもしれないと後悔していた。ここからの話を要約すると……まずアレクトロ社は今回の事態に思う所があったらしく、会社の総力を挙げてラプラスに使われていた動力炉の劣化版をどうにか現在の技術で作り上げ、魔力を使わず本局内部に通じる転移装置を試作的に完成させた。これだけ聞けば私達の探していた物が見つかった訳で、喜ばしい出来事のはずであった。しかしここで問題が発生する。
実は本局に、暗黒物質を潜伏させられていたニダヴェリール支部の局員が何人か送り込まれていたのだ。そしてアンデッド局員は、脱出する次元航行艦に乗り込めなかったようで本局内部に取り残されてしまう。しかし転移装置が通じた結果、向こうからアンデッド局員が解き放たれてしまい、アレクトロ社が襲撃されてしまう事になった訳だ。
突然の事態で当然社員は驚きはしたが、こういった状況の対策は万全で研究員を逃がした直後、アンデッドの発生源を外界から隔離するようにシャッターを降ろしたらしい。だからアンデッド化した社員はいないようだけど、代わりに別の問題が起因する。
本局にアンデッドが紛れ込んでいたという事は、本局から脱出してきた局員の中にアン
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ