第三十一話
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実は調査済みだろう。そして如月と付き合いが事実は無いことも知っているはずだ。なのにこんなことを聞いてくるとは。……そして、寧々が好きだったのは如月では無く、俺だったから。彼女に告白された自分だからこそこれははっきりと言い切れる。このことは誰も知らないんだろうけど。
でもそれは言えなかった。言うべき事ではなかった。
「そうですか。では次に確認させてください。事件のあった夕方、あなたはどうしていましたか? 」
警察はどこまで知っているんだろうか? ここでの回答は慎重を要するような気がした。
「もともと僕は部活をやっていないんで、授業が終わったあとは教室で少し残っていて、その後ぶらっとしてから帰ったと思います」
すべてでたらめだ。寧々に誘われて廃校舎に言ったとは言えなかった。
菜下刑事がさらさらとメモを取る音が部屋に響く。
「何時だったか覚えていますか? 」
「良くは覚えていませんが家に着いたのは7時だったと記憶していますから、6時には学校を出たと思います」
学校を退出するときには改札呼ばれる駅にあるのと同じようなゲートを通らなければならない。当然その記録は残るから嘘をついたらすぐにばれる。でも如月が廃校舎に現れた時間を考えるとその時間あたりのデータは奴の封絶の影響でシステムダウンをしていた可能性が高いと思い、ある意味賭けに出た感じで答えた。
ウソがばれたら確実に疑われる。
二人の刑事が顔を見合わせる。
それを何事もないように見ている俺の心臓は恐ろしいほど高鳴っていた。
刑事達は頷くと再び話し始めた。
後は如月と寧々が付き合っていた可能性があるかどうかとか、廃校舎に行ったことがあるかどうか、そこがホテル代わりに使われていたというのは本当か? 知っていたか? 他に何か知っていることはないかなどのありきたりの質問が形式的になされていった。
俺は言葉を選び慎重にそれらの質問に答えていく。今日この場で答えた事はきちんとメモをしておこう。警察は何度も同じ事を聞いてその都度前の証言とに矛盾が無いかを調べ、あればそこを突いてさらなる矛盾を引き出すはずだから。
「ありがとう。協力を感謝します。今日、私たちに聞かれたということは他の生徒の皆さんには秘密にしておいて下さい。よろしくお願いします。……また何か思い出したことがあったら教えて下さい」
そう言って刑事は名刺をくれた。
俺は立ち上がると二人に会釈をして部屋から出ようとした。
「また何か聞くことがあるかもしれないけど、その時はよろしく」
意味ありげな台詞を言われ、やっと解放されたんだった。
ドアを閉めると思わずため息が出た。
「お疲れ。なんだか俺まで緊張したよ。まあ気にすんな。刑事さんはみんなに確認をしているだけだからな」
そういうと一緒に入ってく
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