第2章 反逆の少女たち
第11話 カスタムの魔女
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時は、現代より少し遡る。
GI1009
〜自由都市地帯・カスタム〜
カスタムは、ルドラサウム大陸南東部に位置する独立都市国家・自由都市地帯の中心に位置する町である。
その町の一角に一際大きく目立つ館が建っていた。1人の男、容姿的にはもう中年だろう男が門の前に立っていた。汗を拭うと、再び作業に取り掛かる。どうやら、外装を整えているようだった。
「ラギシスさん。今日も、ご精が出ますね?」
「ラギシスさん! 我々にも手伝える事があれば、何なりと言ってくださいよっ!」
カスタムの町の住民もニコやかに彼を見ていた。その風景から見て判る。ラギシスと言う名の彼は町の住人にも信頼されている人物なのだという事が。
「いえ……大丈夫ですよ。後はこの看板を手掛けるだけですから」
そう言いながら持ち上げるラギシス。その看板には≪魔道塾≫と書かれていた。
「しかしまぁ……以前に話していた塾の事、本当にやるとは思ってもいなかったですよ」
「はは。私は稀代の大魔女の生徒ですから。彼女の様に知識を後世へと伝え残したいだけなのですよ。……この町に私が出来る最善の事だとも思っています」
今は平和とは言え、直ぐ傍には北部には大国《リーザス》があり、西部には《ゼス》。そして鎖国とは言え、東部には戦国時代と呼ばれている《JAPAN》もある。今のこの時代。どうしても力が無ければ生き残るのは難しいのだ。だからこそ、前途ある若者に自身の魔法を受け継がせ、将来的にはこの町の守護者として育んで欲しいと言うのが彼の理想だった。
「……詭弁、ですね。私に集ってくれているのは幼き少女達。……結果的には彼女達を戦わせようとしているのですから。戦争が起きたときの道具として……そんな気がしてならないです。まるで、生贄のように」
「……そんな事はありません。我々も心を痛めています。勿論ラギシスさんだって。ですから、我々も協力を惜しみません。それに魔の才能が有る無しは本当にどうしようもないんですから」
「そうです。……貴方は決して1人じゃありません。それに、あのコ達だってわかってる筈です。まだ、幼いですがきっと」
町長である男がそう言い強くラギシスの手を握りこんだ。彼の理想を、全面的に支持する意志である。それは、勿論町全体がそうなのである。町長に続いて声を掛け続ける者たちもいた。
「ありがとうございます」
ラギシスは一礼をした。確かに、働きすぎだと言われているが、休んではいられない。
知識を広めるのにはとてつもない時間と根気も必要だからだ。開塾したって、やるべきことはまだまだ多いから。
そして、カスタムの町では1つの事項を決定した。それは、ラギシスの塾生の中でも特に才能に溢れて
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