暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第11話 カスタムの魔女
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悪いので、床に入ったままで失礼致します。私は、町長のガイゼル・ゴードと言います」
「いえ、問題ありません。キースギルドから派遣された冒険者のユーリ・ローランドです」

 ユーリはこの時、初めてフードを脱ぎ挨拶を交わした。その姿を見たガイゼルは、少し驚きの表情をするが、決して口には出さない。どうやら、ユーリの情報は既に聞いているようだった。……彼のコンプレックスも、ギルドマスターのキースから聞いていたようだ。
 だから、誰も口にせず、考えないようにしていた。

(わぁ……とても若い冒険者さん?)

 ……撤回。チサは聞いておらず、姿を見て口に手を当て、驚きの表情のままだった。

「ユーリさんは、キースギルドに所属する冒険者の中でも、特に優秀な方だと聞いております。どうか、どうかこの町をお救いください。お願いいたします……」

 ベッドの上から、ユーリの手を両手でぎゅっと握り包み込む。チサと同じ行動だ。さすがは親子と言ったようだ。だが、それよりも……。

「ったく、キースのヤツ……」

 キースの顔を思い浮かべながら、笑っているであろうキースの顔に頭の中で灰皿を投げつけるイメージをした。そもそも、あのギルドに所属する冒険者で優秀の言葉が当てはまるのは、ラークとノアのコンビだ。依頼とは基本的に、人数が多いほうが成功率も上がるし、それぞれが問題ない力を持っていれば、被害も少なくてすむ。ユーリは受けるときは連続でしたりするが、基本的に彼は仕事に少しだけムラがあるのだ。受ける時は、沢山受ける時はあるが、受けない時は受けない。ランス程極端では無いが……。こなしている数だけを考えたら、あの2人の方が優秀だ。

 ただ、気になる所はある。彼が受けていない期間に何処にいるのかは……それは誰も知らない事だ。

「任せて下さい。受けた以上は最善を尽くします」
「ありがとうございます。とても頼もしい。それでは町の状況について詳しく説明をさせていただきます。チサ。宜しく頼む」
「はい。お父様」

 キースの売り方には、意義ありだが、2人に不安を与える事も無いだろうと口を噤んだ。ユーリは初めこそ訝しむ表情だったが……。悟られないように直ぐに戻した。ガイゼルがチサに説明を託すと、チサが一歩前へと出てきた。

「それでは説明させていただきます。ユーリ様もご存知の通りだと思われますが、この町は元々地上に存在してました。ですが……、今から少し前に魔法使い同士の争いが起こったのです」
「………」
「あれは、争い……と言うより戦争です。依頼書にも書いてある4人の魔女。そして彼女達に対抗したのは、この町で魔法塾を開いていたラギシスと言う魔法使いです。……ラギシス殿は、人間的にも良く出来た方で、その塾もこの町を守る人たちを育成する為に開いたものです
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