第3話「少年は詩を奏で桜は音もなく散る」
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」
「あん?」
「『破壊』で『快楽』を得るなど――」
バカバカしい。
束の間の快楽は永遠の苦しみを味わうだけ。
それが過去に過ちを犯した双葉の一つの答えだった。
同時に、逃れようのない事実だと思っていた。
しかし――
「それもいいじゃないか」
しかし――それはこの少年の理念によって覆される。
狂的な笑みで、しかしどこか澄ましたようにグラハムは言う。
「自分で言うのも何だが断言できる。オレの頭はおかしい。そう、オレは壊れてる」
苦笑しつつもグラハムは恍惚とした表情でレンチを回転させる。
「だからこんなに楽しいんだろうな。壊れているからこそ、どうしようもなく狂った状況が当たり前だと楽しめる。壊れ方によっちゃ厭(いや)な事も苦しい事も悲しい事も、全て楽しむ事ができるだろう。際限なく自分の思うままに世界を楽しめるなんて、まさに夢のような幸せな話じゃないか」
――…………。
なんて図々しい自分勝手な考えだろう。グラハムが言ってることはまさに『邪道』だ。
外道を極めたあの鬼神が聞いたら何と笑うだろうか。
しかし……双葉は何も言い返せなかった。
それもそのはずだ。
彼の言葉に、双葉は自分でも気づかないうちに納得していたのだから。
=つづく=
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