序章 May―踊り始める現在
Collision, Who will dance?
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必要ないし俺がどうこう言うものはないと思うが」
「そうじゃなくてね。その、なんて言うんだろう。人間的にって言うのかな?」
「……………」
優は僕の言葉に黙ってしまった。
やっぱりこんなこと聞かれても困るよね…。
「……これはセシリアに言ったんだが良くも悪くも経験が必要なんだよ」
「経験?」
「こうして失敗した成功したっていう過程。
もし、シャルルが俺を強いと見えるならその分俺は苦労してるってわけ」
それは逆に言うと数日では僕はこの状況を打開できないということになる。
「まぁ、なんでもひとりでする必要はないんだ。
助けて欲しがったら言ってくれ。力になる」
「……うん。ありがとね」
「じゃあ、飯でも食うか」
簡単に身仕度をして食堂に向かう。
僕は優の背中を見つめる。
助けてと言えたらどれだけ楽だろうか……。
けれど言えない。言えばきっと僕は優を殺してしまう。
(優、お願い。できたら…僕を助けて)
◇
(優side―寮長室)
珍しく千冬さんに呼ばれた俺は去年とは見違えるほどの部屋の椅子に座って待っていた。
恐らく以前、授業の時に言った仕事のことだろう。
「様子はどうなんだ?」
「普通でしたよ」
俺は当たり障りのない事実を報告する。
と言ってもそれは向こうから見た場合だ。彼女から見た場合は何かをしている。
これは後々楽になるかもしれないので報告しないが。
「……お前、今回の仕事やる気あるのか?」
「どちらかと言えば俺より向こうの方がやる気がないように見えますけど」
「質問に答えろ」
ここには一夏がいるせいかかなりピリピリしたした声で問い詰めてくる。
それだけ余裕がないということだ。
「大丈夫ですよ」
別に一夏に危険が迫るわけじゃない。
向こうからしたら俺の方が希少価値があるからな。
「まぁ俺は向こうが踊らない限り何もしませんが」
「なぜだ?お前は自分でした調査でこの事に対して明確な結果を出している。
状況的な証拠も物質的な証拠もある。なのになぜ踏み込まない?」
「俺には俺のやり方があるってことです」
「……………………」
何か言いたそうに口を開いたが納得してくれたようだ。
「あと、ボーデヴィッヒのことだがまた揉めたらしいな」
「最初に敵意を向けてたのは一夏でしたけどね」
さすが千冬さん大好きっ子。
っというよりその力に惚れていると言った方がいいのか。
だからモンドクロッソ2連覇を逃した原因である一夏が許せないのだろう。
それなら似た理由で俺も殺されそうだが。
「お前が手を抜くなり何なりして負けたらどうだ?」
「嫌いな奴ほど目に付くって言葉があるでしょ。
手を抜いたらすぐ気付きま
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