二十九話:行き倒れと日常
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ジークと朝から連絡が取れない。俺はそんな問題に直面していた。
朝飯を食べに来なかった時は偶には自分で食べているのだろうと思い全く心配しなかった。
しかし、休日にも関わらず昼飯も食べに来なかったので一応メールを入れておいた。
だが、メールは帰ってこなかった。
流石に気になって連絡を入れるが一向に反応は無い。
仕方がないのでジークと会っていそうな相手に連絡を入れる。
「え、チャンピオンとは今日は会っていませんよ。あの、凄い汗をかいていますけど大丈夫ですか?」
エルスの所には居ないらしい。
「あ? ジークは見てねえよ。一緒じゃねーのか。……おい、爪を噛みながら話してると危ねーぞ」
ハリーの所にも居ない。
「ジークかい? 私の所には来ていないな。それと貧乏ゆすりのし過ぎで残像が見えるんだけど君にそんな癖があったのかい?」
……ミカヤの所にも居ない。
「すいません、今日は見ていません。あ、あの、凄い汗をかいて爪を噛みながら残像が見える速度で貧乏ゆすりをしているように見えるんですけど大丈夫ですか? やっぱり昨日のは病気で…ッ!」
……ヴィヴィオちゃんの所にも居ない。後、俺は病気じゃない。
最後のというか一番可能性が高そうなヴィクターに連絡を入れる。
「捜索中ですわ!」
ヴィクターの所にも居ない。
それと伝えても居ないのに何故かヴィクターも捜索を始めていた。
流石はおかんと言うしかないだろう。
「ジークは恐らく……いや、間違いなく―――迷子になったな」
深いため息と共にソファーに沈み込む。
テーブルに置いてある小物がガタガタと震えているが地震でも起こっているのだろうか。
まあ、とにかくアイツが迷子になるなんてことは、今は少なくなったが昔は結構あったからな。
そこまで焦ることじゃない。どうせひょっこり帰って来るだろう。
「さて、それまで宿題でもやっておくか」
気を取り直してペンを取ったところで通信が入る。
すぐさまその通信に応答すると聞きなれた喋り方が聞こえてきた。
「こんばんはやー、リヒター君は今暇かいな?」
「なんだ、はやてさんか」
「なんだとはなんや。綺麗なお姉さんとお話できるんやからもっと喜びーや」
「……………それで要件は」
「う、何か今日は話しづらいわー。なんかあったん?」
はやてさんの言葉に無言で首を横に振るだけで応える。
今は話す気分じゃない。用がないならやめて欲しい。
「まあ、ええわ。さっきリインがな、行き倒れたチャンピオンを拾って―――」
「どこですか? 今どこにいますか?」
俺の食いつきぶりに目を丸くするはやてさんだがすぐに気を取り直して続けてくれる。
「今は
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