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ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第149話 毎日が勉強
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うか。
目の前にいるであろう人も、どうやら同じ様だった。
そして どちらからかは、判らない。
ゆっくりと、距離を詰めていく。一歩、一歩、歩いていく。
長い長い道のり、その終着点はここへと続いていたのだ。……この場所に。
――はやと、くん。
――れいな。
その時は、来た。長いと感じた彼女との距離が縮まった時、2人は同時に声を発していた。彼女の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。何度も瞬きをして、涙を流す。
視界がぼやけてしまっているが、はっきりと互いに見つめている。
その彼女の後ろに広がる廊下の先。その暗闇の中で何かが映し出された気がした。
『早くっ、早くっ!』
ニコリと笑っているユイの姿。
ユイを筆頭に、リーファやリタもいる気がした。リーファは、にこやかに笑い、リタはそっぽ向いているものの、その顔は笑っている様だった。そして、……彼女の姿も、見えた。
――……こんな時でさえ、彼女達に頼ってしまうのか?
待っている彼女を、ずっと待たせてしまった彼女を、まだ待たせるのか?……自分は我慢出来るのか?
隼人は、そう強く想うと……、まだ開いていた2人の距離を縮めた。早く、早く……、そして あと一歩の所で彼女の方が距離を詰めた。彼の胸に、飛び込んだのだ。
彼女の細く美しい身体をその身に抱きとめる。
「は、は、やと……、くん。はやとくん……っ」
彼女は、隼人の胸に顔を埋め、嗚咽を漏らす。そんな彼女の身体に腕を回し、二度と離さないと言わんばかりに強く抱きしめた。
「ご、ごめ……んっ」
隼人も、涙を流した。留まる事を知らず、流れ続ける涙。互いの涙が雫になって流れ落ちる。
「ほんとう、に……ごめ、ん。また、待たせて……っ」
彼女の声、今日初めて聞いた。あの世界で毎日のように聞いていたその美しい声とはまた違って聞こえてくる。空気そのものを大きく揺らし、感覚器官を直接震わせ、脳へと伝わる。
……現実の声は、何倍も素晴らしく思えた。
「う、うんっ……わ、わたし、わたし……」
玲奈は、まだ現実と思えない様だ。これこそが夢なんじゃないか、とすら思ってしまう。
「ほんとうに、おわった。……ようやく、おねえちゃんが目を覚まして、きみに、会えて……ほんとうに……おわったんだね」
埋めていた顔を離し、隼人の顔を、瞳を見つめた。これまでの想いと共に、全てを伝える様に、じっと……じっと隼人を見つめた。
「はじめまして。玲奈、……結城、玲奈です。――おかえりなさい、隼人君」
あの旅の終える場所。あの戦いの終える場所、
玲奈の中
(
故郷
)
に帰る事が出来た。
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