暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第10話 並木の間を歩きながら
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の表情は自信に満ちているのがわかった。その先の言葉は聞かなくても良いと思える程に。

「万が一でもその様な事になったら……、私が、私とマリス様が、戻します。戻しますから」
「ふふ。安心した」
「はいっ! っとと、それでは!!」

 笑い合う2人。だが、ゆっくりしていられる時間は短い。あの4人の足は思いのほか速く、もう相当遠くになってしまったのだ。流石に離れすぎるのはマズイし、真の忠臣を目指すのに、それでは駄目だから。

「ああ、そうだったな。待ってくれ」
「はい?」

 ユーリは彼女を呼び止める。もっと早くにしておけばよかった事を問いかける。いや、違う。改めて……だ。

「名前、まだ聞いて無かったし、オレ自身から名乗って無かったよな。オレはユーリ・ローランドだ」
「あっ……///」

 そのニコリと笑った顔。とても輝いて見えた。自分の事をひとりの女の子として初めてみてくれた異性であり、救ってくれた恩人であり……そして。

「私、かなみです! 見当かなみです!」



――……初めて見惚れた相手だから。好きになった人だから。


 満面の笑顔を向けてくれるかなみ。
 さっきまでからかわれており、気分的にはマイナスだったのだが、それを吹き飛ばす程のものだった。手を振り見送るとユーリは再びキースギルドの方へと向かう。


「……次はさっさと依頼を受けるか。こんな日はやっぱり身体を動かした方がいい」

 そう言うと、草木が囀る街道の道を再び引き返していった。 
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