第1章 光をもとめて
第10話 並木の間を歩きながら
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また、依頼に行く為。
力をつける為。
自分の目的の為。
まだまだ、足りないからだ。 幾ら力をつけても、まだまだ……。
その時だった。
風がすっと舞っているのがわかる。今日は快晴の日。風も心地良く頬を撫でており、気分も心地良い。
「ふぅ……そこにいるんだろう?」
ユーリは、足を止め、街道にある並木の1つの上を眺める。そこには人影があった。その影は素早く動くとユーリの傍へと降り立っていた。
「流石、ですね。ユーリさん」
「良いのか? 王女側近で、忠臣である君がこんな所にいて」
「そ、そんな……、私はまだまだ修行中の身です。それに大丈夫。リア様は傍におられます」
「……王女が? 何でこんな辺鄙な場所に?」
「それはもう少ししたらわかりますよ。……ほら、アレです」
彼女が指差す方向をユーリは見た。……と言うか見るまでも無かった。姿より、叫び声の方が先に届いたからだ。
「待って―――!! ダ――リンっ! 愛してる―――っ!!」
「だぁぁぁ!! オレ様は結婚なぞせんぞ―――!!!」
その姿は、男がパートナーを引き連れて全力で逃げており、その後を王女と侍女がこれまた全力で追いかけている姿。リアは、純白なウェディングドレスを羽織っていると言うのに、走る速度が凄く速いのも驚愕だ。
「………成程な。生まれて初めて叱ってくれたのがアイツだ。……でも極端すぎると想うがな」
「……畏れながら同感です」
かなみも頭を痛めているように抱えていた。
「しかしまぁ……、似たような話題を……」
「っっ!!」
そのユーリの言葉に驚きを隠せられなかった。
「ひょ、ひょっとして……ユーリさんもご結婚を?」
「ん……?? そんな訳無いだろう。色々とギルドで言われたんだよ。……オモイダシタクナイカラ ヤメテクレ」
「あ……。(なるほど。……ほ。)」
何処かほっとしている様子の彼女。ユーリは向きなおすと本題に入っていた。
「それで? 後を追いかけなくて良いのか?」
「あ、はい。直ぐにおかけます。でもその前に、どうしてもユーリさんに一言お礼が言いたくて」
「……礼か。俺は思った事をしただけだ。自分に正直に、そして自由に。それが冒険者の醍醐味だからな。勿論グレーゾーンはあるから、その辺りは弁えている」
「あはは……。それでも言わせてください」
すっと、ユーリの目を見た。決してそらせたりはしなく、真っ直ぐな瞳で。
「私はユーリさんに救われました。……ユーリさんの言葉を胸に、真の忠臣と呼ばれる様に、これからも尽くしていきます」
「そうか……。だが、次同じような依頼があったら「大丈夫です。」……ほう」
ユーリの言葉を遮る。そ
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