拝啓我が姉妹よ。そなたの愛し子は大きくなったぞ。
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た。連れ去ろうとする神、力で奪おうとする神、隠そうとする神、コレーを上回る母性で誘惑する神。様々な魔の手が伸びたがすべてコレーとデメテルの手によって阻止。またコレーから離れただけで泣き出したので女神達は諦めてしまった。
最終的には甥や孫、弟分として可愛がるという形に収まったのだが。
「そうか、あなたはルカだったか。冷たく当たってしまい申し訳ない事をした」
妾は顔の筋肉がだらしなく緩んだのを感じた。
「叔父上はご健勝か?コレーは達者か? まさか、ルカが神殺しとなっておるとはこの世は何が起こるか分からぬものだな。だがしかし、妾はルカに会えて嬉しい」
「僕も叔母上に会えて嬉しいです」
ルカの顔に陰りが見えた。
「どうやらお二方とは久しく会ってはおらぬようだな。その神殺しの力も妾が知る気配をしている。今は深くは聞かぬ。正直認めたくはないがルカが神殺しとして前にいるということはそういうことなのであろう?」
「はい、叔母上に真なるアテナになられてはたくさんの人がその天寿を全うすることなく父のもとへ招かれることとなるでしょう。それを冥界に属する僕にとっても、カンピオーネである僕としても見過ごす事はできません。どうかお願いです。ゴルゴネイオンを諦めてください」
「できぬと云ったら?」
「叔母上を倒します」
「よい、妾に歯向かう事を許す。可愛らしい甥が確たる意思を持って妾の前に立ちふさがるのだ。叔母として全力で迎えよう」
手に巨大な鎌が現れる。呼応するかのようにおびただしいかずの我が僕である梟と蛇が姿を現した。
「我が名はアテナ。参られよ、神殺しにして冥界の皇子たる我が甥よ!」
幾多の蛇と梟がルカ目掛け襲いかかる。
「立ち込める暗雲、速駆ける疾風、逆巻け、我が命じたままに!!」
ルカが聖句を告げると同時に夕凪時だった空が黒い暗雲に包まれた。直後ルカを守るように吹き荒れた暴風は竜巻となり、我が配下達を吹き飛ばした。
「真に神殺しなのだな!」
「風よ!!」
風が動きを変えた。まるで蛇のようにうねりをあげて襲い掛かってくる。
「その権能の正体見破ったり! ルカが葬ったのは冥王ハデスの配下にして虹の女神の姉妹である風の四姉妹」
それを軽々と避けてルカへと斬りかかる。
「アロエー、オーキュペテー、ケライノー、ポタルゲー! かの四姉妹が後に古の怪物と呼ばれるつむじ風と竜巻を司る女神であり、ルカが簒奪した権能の正体!!」
「流石博識ですね叔母上! 怪物の方の名前じゃなくてそっちの名前をだすなんて! 彼女達、すっごくマイナーなんですけど!!」
「そう誉めるでない。誉めても妾の愛情と加護と信託と接吻ぐらいしかでぬぞ?」
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