拝啓我が姉妹よ。そなたの愛し子は大きくなったぞ。
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聖句を念じイメージするのはウルスラグナ第八の化身“雄羊”
。
権能の発動を感じた俺は意識を手放す瞬間アテナから引き剥がすように吹き荒れた風を感じた。
すまん。少しの間だけ頼む。
任されました護堂お兄さん。
「・・・・・これは驚いた」
草薙護堂に死の接吻を施した直後、妾を引き剥がすように吹き荒れた暴風。
それは草薙護堂をかすめとると騎士というヘルメスの弟子をも包み込み。逆巻く風となって妾から離れた場所に二人を移動させていた。
「まさかこの国にもう一人神殺しがいようとは」
後に風は妾の前に舞い戻るとその勢いを弱めていく。
「護堂お兄さんとは協定を結んでますからね」
竜巻の中から姿を現したのは草薙護堂よりも若い童。
黄金色の髪を靡かせるその神殺しはにこやかな笑顔で妾を見据える。
「申し訳ありませんセフィーネ王。我が君が回復なされるまで今しばらくお願いいたします!」
「わかりました」
ヘルメスの弟子が己の主を連れて離れていく。
あの口振りから蘇生の権能があるのだろうが、気にすることなく妾の意識は目の前の童に向けていた。
「お久しぶりです叔母上。最後にお会いしたのは頂の宮殿以来でしょうか?」
「妾はあなたのような神殺しを身内に知らぬな」
知らぬと云ったが妾はその顔に親近感を覚え、同時に罪悪感も感じた。
「覚えていないのも無理はありませんね。僕がお会いしたのはまだ一才にも満たない頃で母に連れられた時ですから」
では、改めて自己紹介をと云った後に神殺しはにこやかに云った。
「僕はルカ・セフィーネ。冥王ハデスと女王ペルセポネの息子で貴女の甥です。以後、お見知りおきを」
直後脳裏に甦る記憶。いつだったか妾と腹違いの姉妹、コレーが人間の赤子を連れて頂の宮殿、オリュンポスへとやってきた。
ペルセポネとコレー、季節により変わる二つの名を持つ女神に他の神々は何を考えているのかと叱った。だが彼女を比護した神がいた。彼女の母、デメテルであった。
デメテルは娘に会えない季節があることも嘆いていたが娘に子供が産まれないことも嘆いていた。そんな中連れてきた人間の赤子。コレーはその赤子の母となると告げた。かくなる妾もその赤子に見惚れた。それほどまでに愛くるしかったのだ。
それからは1日も経たないうちにオリュンポス十二神はその赤子に陥落。あの父、ゼウスでさえその赤子の前では形無しだったのだ。
問題は妾達女神である。ヘラ、アテナ、アルテミス、アフロディーテ、ヘスティアの五柱の女神はその赤子を己の子とせんが為に動い
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