拝啓我が姉妹よ。そなたの愛し子は大きくなったぞ。
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かる。俺たちの邪魔にならないように。
周囲は編纂委員会に用意させた場所ともあって全く人がいない。それどころか遠くに聴こえるはずの都会の喧騒も聞こえない。これは神の想念、ただ願うだけで人間に影響を及ぼすその力。
アテナがここにいる限り、この辺りは永久に無人のままだろう。神はそこに現れるだけで、人間の行動や心を狂わせる。
ほとんどの神は地上を徘徊したりしない。ごく稀に出現する例外が“まつろわぬ神”なのだ。
「さて、草薙護堂よ」
重ねてアテナが問うてくる。
「ゴルゴネイオンは何処にある?」
「あのなぁ、俺が大人しくおしえるとおもうか?」
思わぬよ、とアテナはふてきな笑みを浮かべる。
合わせて云った。
闘神としてのアテナは敵と認め、戦え。
智慧の女神としては警告を発していると。
アテナはフクロウと似た瞳を細める。
「故に、まずは問う。妾はアテナ、闘争と智慧の女神。和もするもよし、争うもよし。さあ、あなたの答えをーー」
「できれば和を取りたいんだけどな」
俺たちが戦えば少なからず被害が伴う。
認めたくなかったが、自分より小さなカンピオーネは既にその覚悟を持っていた。
そんな姿をみたら認めない訳にはいかないだろう。
「悪いが断るよ」
俺は一般人一般人である事を諦めた。
「ゴルゴネイオンを渡すわけにはいかない」
エリカが俺の騎士であることを認めた。
「逆に諦めて出ていってくれないか? あんたの智慧の警告どうり。この国に手を出すならタダじゃ済まさないぞ」
そして、俺はカンピオーネである事を受け入れた。
「すまぬな。草薙護堂よ、あなたは神殺しにしては善良な男だ。闘士としては度し難く、王としてはまだ愚かしい。だがそれは未来の英雄としての一つの器なのやもしれぬ。あなたの行く末を見られぬのは残念だがーーー許せ」
アテナが目の前にいた。
その細く幼い両腕を首に絡ませて、彼女はつま先立ちになって桜色の唇を俺の騎士団唇に押し付けていた。
ーーーしまった!!
我が求むるはゴルゴネイオン。諦めよ。あなたの息吹を、あなたの命を妾は強奪する。暗き地の底、冷たき冥府へと旅立つがよい
冷たい呪力と共にその唇から流し込まれてきたのは“死”。
薄れゆく意識の中、エリカの叫びを聞いた俺は己の神力を高ぶらせた。
このまま死ぬ訳にはいかない。俺が不甲斐ないせいでエリカが無謀な特攻を掛けたのにやすやすと死ぬわけにはいかない。
ーーー我は最強にして、全ての勝利を掴む者なり。
ーーー立ちふさがる全ての敵を打ち破らん! あらゆる障碍を打ち砕かん!!
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