暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
始まりと終わりの地
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
はやはり「なんだ、そりゃ」。

「どうやら、私だけが招かれたみたいです。詳しくは後ほど説明しますが、この場所にアリアを連れて来て、と頼まれてしまいました」
「はあ? アイツを捜してんのは俺らだっつーの」

 宝石を袋に戻してポケットにしまい、本を片手に起き上がる。

「ええ。それに、神代に生きていた方々は、どうしても私達を世界の命運と関わらせたいらしい」

 ()()()()()()()、ならともかく。
 ()()()()()()、と言われても、自分達には結構な難題だと思うのだが。
 苦笑いしか出てこない。

「世界なんぞ知らん。邪魔すんなら、ぶっ壊す!」
「まあ、そうですよね」

 立ち上がり、服に付いた砂を払う。

 さて、これからどうするべきか。
 アリアの情報自体は少しずつ集まってきているが。
 手掛かりと呼ぶには、少々頼りないものばかり。
 ルグレットさんの件を考えても、『村』の捜索だけでは不足のようだし。
 ただ……

「あ、そうだ。ベゼドラにお願いがあるのですが」
「あ?」

 にこっと笑って告げた内容に、ベゼドラは少しだけ目を見開いて。
 それから、うんざりした表情を返してくれた。

「くっそ面倒くせぇことばっか考えやがって」
「貴方にも利はあるでしょう? 手間が減って、おまけも付くんですから」
「どっこいどっこいだっての。……ったく……面倒くせぇな」
「とりあえず、今後は居住地の規模にこだわらず、アリア信仰の古い教会を中心に探してみませんか? 貴方もそうでしたが、ルグレットさんも、他の悪魔も、比較的古い教会に封印されていましたし。可能性ですが、また別の悪魔が封印されているかも知れません。貴方と同じように目覚めていれば、そこにアリアが現れるかも」
「あー……んじゃ、それで」

 歌も宝石も本も、現在のアリアとは、結びついていなかった。
 他に良案が出てこない以上、これが現状での最善策だ。

「行きましょう」

 アリアが何かにこだわった地。
 『アリアを知る何者か』の意志が、彼女の訪れを待ち続けている場所。
 いずれまた訪れることになるかも知れないと思いながら。
 自分達は、その場から立ち去った。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ