始まりと終わりの地
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方が知っているのなら神代の建築物で間違いないですね。アリアとして生きた時代に活用されていた、女神信仰とは別の教会や神殿でしょうか」
名乗りを上げたと言うから女神信仰原初の神殿か何かかと思っていたが。
どうやら、少し違うらしい。
ルグレットさんの話から推測できるのは、自らの死を願っていたアリアがこの場所で自身の時間を退行させてルグレットさんに記憶を消してもらい、浮浪児としてさ迷った末に自分と出会って別の人格になった、ということ。
アリア信仰を立ち上げた場所ではないとしたら、見るからに宗教色が強いこの廃墟は、アリアにとってどんな意味があるのだろう?
なんにせよ、アリアと深い関わりがあるのは間違いなさそうだ。
「この場所、あの村からちょうど東に位置してないか?」
「え? ……あ。そう、ですね。多分」
コートの内ポケットから白い布袋を取り出して、蒼色のリボンを解き。
中に入っていた薄い水色の宝石を手のひらに乗せてみる。
宝石は、フィレスさんに手渡された時以降、何の反応も示さない。
「もう一度光ってくれれば確認できるのですが」
「奥に入ってみるか」
階段を上がり、散らばる太い柱や壁を跳び越え。
ひょいひょいと、一人で先に進んでいくベゼドラ。
ああ、話を切り出す前に行ってしまった。
仕方ない。
自分は自分で、歩けそうな場所を探しながら、自力で付いて行こう。
本がお荷物です。
こんな時くらいは、貴方が自分で持ってください、ベゼドラ。
それにしても、大きな建築物だ。
ほぼ全体が風化しているとはいえ。
こんなにも巨大な建物があったとは聞いた覚えがない。
自分が預かっていた教区の隣の筈なのだけど。
勉強不足だったかな?
「……ここは……」
廃墟の中心と思われる、石床の上。
無惨に転がる石塊群が、そこだけを避けたように、丸くぽっかりと開いた不自然な空間があった。
その空間の中心に立ったベゼドラが、足下の一点を凝視している。
「かつてアリアが立っていた場所、でしょうか?」
アリアが過去の記憶を手放し、別人として始まった場所。
ひび割れた石床には、入り口で見たものと同じ翼の紋様が描かれている。
「神々の神殿」
「?」
「白い翼は神の力の象徴。だったら、翼の絵は神々を表す記号だろ?」
「……なるほど」
やはりここは、女神アリア以外の信仰の地。
今は世界を離れているという、天上の神々を祀る神殿か。
「思い出した。あれは勇者の剣だ」
「魔王と一緒に異空間へ飛ばされた英雄?」
「ああ。神々の力を込めた剣の形に似てた」
…………戦いはしなくても、剣の形を覚えるくらい
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