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月に咲く桔梗
第2話
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いれば主将になれたのに、と現在の主将は惜しそうに話していた。

 当たり前だろ。誰が見てもわかるだろ。

 先輩に対して悪態をつくのは非常識だが、そもそもそんな気力もなかった。

 自分の今までの頑張りは何だったのか。

 私は先輩の剣道を見るために、この学校に入ったのではなかったのか。

 剣道をあきらめかけたあの日、自分を励ましてくれた先輩。

 あきらめちゃったんだろうか。

 なんであきらめたのか。

 なんで。

「なんで……」

 頭の中にぎっしりと詰まっていた妄想はぶしゅーっと大きな音を立ててその形を失い、残ったのはこれから始まる高校生活への絶望であった。

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