第2話
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て絶賛するほどである。
「今これだけか」
智は周りを見回して浩徳に問いかけた。舞台上では数人が台本を読んだり、ストレッチをしたりしている。
「部室にまだ何人かいるよ」
「そう。サンキュー」
取り出していた部室の鍵をポケットに突っこんで、智は部室に向かおうとした。そんな彼の背中に向かって、何かを思い出したように
「あ。まあ、この後馬鹿がやってくるけどな」
と浩徳が言葉を放った直後、部室から舞台裏に続く階段をあわただしく駆け下る足音が聞こえ、優大が舞台上に飛び込んできた。
「うおーっ、早くストレッチするぞっ」
せわしなく靴を履きかえている優大を見て、二人は顔を合わせた。「予言通りだろう」とでも言ってそうなあきれた表情で浩徳が目配せすると、「なるほど、さすがは幼馴染、相手の事をよくわかっていらっしゃる」と思って、智はにやりと笑い、部室に荷物を置きに行った。
「あー疲れた疲れた」
練習後、顔についた汗を真っ白なタオルでぱっぱと拭き、優大は大の字になって床に寝転んだ。
「テストのせいで部活なかったからな」
智は赤ペンで台本にチェックを入れながら答え、「モップ掛けの邪魔」と注意した。
「くそー、中間の結果親に見せたくねー」
ばたばたと手足を動かしながら優大が叫ぶ。智がもっと迷惑そうな顔をする。
「どれくらいだった」
「文系科目、あれはこの世にあってはダメだ」
真顔になってこちらを見てくる優大に対して、理系科目は得意なんだからそれぐらい勉強しろよ、と智はため息をついた。
「そういえば、今日も何人か見に来てたな」
小道具の片づけを終えた浩徳が智に話しかける。練習は講堂で行われているので、練習風景を見に来る生徒も少なくはない。
「確かにいたな。入部してくれないかなー。ずっと理系馬鹿の方見てる子もいたし」
智は『理系馬鹿』を強調しつつ答える。
「へー、ライトとかで全然見えなかった」
智の言葉に「確かに理系特化だけど、馬鹿はひどいな」とむっとした顔をして、優大も続けて答える。
「すごい真剣に見てたぜ、あの女の子。気でもあるんじゃない」
智の言葉に優大はむくっと上半身を起こし、
「えー、俺の演技を盗もうとしてたんじゃない」
とダルそうな声を上げて答えた。このやり取りをぼーっと見ながら何かを考えていた浩徳は、はっと気付いた様子で眉間のしわを解き
「あー、ああ。あれ、片山じゃない?」
と大声を上げると、優大は飛び起きて
「え、ゆづっちゃんこの学校だ
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