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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
31. 見解の相違
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つ」
「え?な、なに?」

 アニエスは俯いたまま、食べていたサラダの皿を黙って差し出す。
 中身を覗いてみると、何故かサラダの具だったベーコンだけが綺麗に残っている。
 思わずアニエスの顔を見返すと、彼女は恥ずかしそうにもじもじしていた。

「ごめんなさい……動物の肉や魚は殺生によって得るものなので食べられないのです。料理を作った方には申し訳ないので、代わりに食べてもらえませんか……?」
「あ……そ、そうなんだ」

 偏食はよくないよ、と言おうかと思ったティズだったが、巫女とはそういうものなのかな?と思い直して敢えて指摘はしないことにした。が――

「あら、偏食は美容にもよくありませんわよ?」
「え………?」
「ごめんなさいね、ちょっと相席よろしいかしら」

 声をかけられるまで、エアリーもその存在に気付かなかった。
 フードを深くかぶった見知らぬ女性が、紅茶を片手にテーブルの席に座っていた。

 顔が見えなくとも感じられる、耳を擽るような蠱惑的な気配を纏いながら。
 
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