31. 見解の相違
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然と反証するアニエスにたじろぐティズだが、ここで引き下がるほど彼もあきらめが悪くない。アニエスが理論で攻めるなら、ティズは事実で攻める。
「う……で、でもアニエスは魔物と戦ったことあるの?実戦で言えば僕は君より一日の長があるよ!」
「そ、それは……しかし棒術と魔法なら多少の心得があります!」
「棒で魔物を殺すのは難しいよ?それに魔法使うんなら君を守る人が必要じゃないか!」
「それは!ですから正教騎士団から有志を……」
(ティズ!ちょっとエアリーをアニエスに近づけて!)
「え?う、うん……」
道具袋の中のエアリーをアニエスに渡すと、エアリーは小声で告げる。
(あのね、アニエス……今、それはマズイかも)
(ど、どうしてですか?)
(クリスタル正教って戦いになると結構過激だったのは知ってるでしょ?かつての正教と旧教の熾烈な戦争や、その後の『闇の軍勢』との長きに渡る戦い……そんな気質は時代を越えてもなかなか消えない物よ。そこに根源結晶の存在なんか教えたら、どうなると思う?ねぇアニエス、どうしてエアリーと根源結晶が伝承に残ってなかったのか、一度考えてみて?)
エアリーの遠回しな忠告に、アニエスも薄々ながら事情が呑み込めてきた。
(伝承に残されなかったのは、欲深き者が根源結晶が教会の側で濫用されるのを防ぐため。もしそんな力があると知ったら、正教はオラリオと戦争してでもそれを手に入れようとする、と?)
(そういうこと!それに今、オラリオと正教は折り合いが悪いみたい。仲間にするにしたって臆病なくらい慎重な方がいいわ……戦争なんか始まったら捜索どころじゃなくなっちゃうもん)
傍から見ると、道具袋の中を覗いてぼそぼそ喋っている少女という得も言われぬ絵面である。
しかしその内容はここにいる3人にとって決して外せない重要な取り決めだ。
これでアニエスがティズのダンジョン入りを遠ざける理由が一つ減った。
考え込むアニエスは、ティズに確認を取るように質問する。
「………女神ヘスティアの所へ行くのは明日でしたね?」
「え、うん……今日はエイナさんお休みみたいだから報告も出来ないしね」
「ティズの言い分は分かりました。それならば一つ提案があります」
「提案?」
「ファミリアになった場合、冒険者としてダンジョンに行くための許可は当然女神ヘスティアが決めることになります。ですからこの件は女神に裁定してもらいましょう」
なるほど、確かに道理が通っている……とティズは思った。
事実、ティズの最も懸念している所は『女神ヘスティアが許してくれるか』だ。
そしてそれはアニエスにも言える事。協力者である彼女ならばどちらかに贔屓もしないだろう。
「わかった。僕もそれでいいと思うよ」
「それと……もう一
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