31. 見解の相違
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象としては見ていまいが、誘惑を無視して子供の約束を守ったのかと考えると真摯な所もあるらしい。
「へぇ、何か意外……ちょくちょく口説こうとしてくるし、てっきり来ると思ったんだけどなぁ」
「『そのうち必ず埋め合わせをするので今回は許してほしい』……って伝言を頼まれました」
失敗したとでも言いたげにエイナは後ろ頭を掻く。昨日ティズの案内があったためリングアベル本人に確認はとっていなかったが、女性の頼みなら簡単に食いつくだろうと踏んでいた。軽薄そうに見えるのに、唯の女誑しってわけじゃないんだなぁと感心する。
「先輩、いつも『女性には敬意を持って接する』って口癖みたいに言ってました。ちょっとだらしなく見えるかもしれませんけど……その辺は誤解しないであげてくださいね?」
「うん、ちょっと見直したかも……」
しかし困った。今回二人を呼び出そうとしたのが7階層へ行くための話し合いだったのは本当の事だ。だからベルのステイタスやリングアベルのスキルなどをちゃんと聞きだしたうえで装備を揃えてもらおうと考えての待ち合わせだったのだ。
(ベル君とユリコの話だとステイタスは申し分ないらしいけど、今日を逃したら有給取れないし……ああもう、しょうがない!)
「リングアベルの事を暫く頼む」と頼んできた語尾にカタカナのつく同僚――ユリコの顔を思い出し、エイナはため息をつく。同僚に頼まれた以上は疎かにする訳にもいかないし、自分の贔屓で彼が死んだら確実に恨まれる。エイナ自身そんな目覚めの悪い結末は御免だった。
(しょーがない……本当はベル君に装備の一つでも買ってあげようと思ってたけど、このお金はリングアベル君の為に使うとするか……)
代金は彼女への貸しにしておこう、とエイナは決断した。
なお、ユリコがリングアベルの担当をエイナに預けたのは、元はといえば忙しいタイミングに有給を取ってリングアベルの尻を追いかけた大馬鹿者への腹いせにエイナが大量の仕事を押し付けたことに起因する。誰が悪いとも言い難い微妙な連鎖である。
「じゃ、いこっかベル君!行き先はどこだと思う?」
「う〜ん……お金持ってきてって言われたから、当然お金使う所ですよね……」
「ふふ……じゃあ道すがら教えてあげる!実はダンジョンの上にあるバベルには露店があってね………」
その日、バイトを掛け持ちしていることが発覚した主神と出くわしたりといろいろあったものの、最終的にベルはバベルの露店で兎の印が入った白い鎧を購入。ついでにリングアベルに丁度いい感じの装備はないかと二人で探し回った結果――
「ウッソぉ!?こ、このブーツ……エルメスサンダルが編みこまれてる!?」
「エルメス……って、確か外国の有名な防具メーカーですよね!?装備した人の素早さを底上げ
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