31. 見解の相違
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ハーフエルフの美人ギルド受付嬢とデートなんて、この町ではまず実現しない。
まして相手がギルド内でもモテるエイナ・チュールとなると不可能に近い。
第一、ハーフであってもエルフはエルフ。異性に対して簡単に心を許すことはない。
第二、前にも説明したが、ギルドの受付嬢は基本的に個人的に冒険者に入れ込まない。
第三、デートの為に時間を割いてくれるほどギルド職員は楽な仕事ではない。
しかし現在この町には三つの壁を平気な顔でぶっ壊せる男が約1名存在する。
そう、白髪にルべライトの瞳が特徴的な少年――ベル・クラネルである。
なお、他にデートに誘えそうな男はティズが候補に入り、ハーフエルフという条件を取っ払うとリングアベルもランクインする。一応述べておくとこいつらが特別なだけであって、他に候補は………いつぞやリングアベルと一緒に戦った学生のユウなら可能性があるかもしれないが、とにかくごく少数である。
それはさておき……彼女とベルがデートに至った経緯を簡単に説明しておこう。
実は昨日ギルドに行った際にベルは彼女に「そろそろ7階層に行きたい」という旨の事を伝えていた。
だがエイナは簡単にウンとは言わない。何故かというと、冒険者になった時期から計算してもあまりに時期尚早に思えたからだ。それに対してベルは「ステイタスは足りてるし先輩もいるから大丈夫」と反論。唸ったエイナは「明日もう一度話し合おう」と提案し、今日に到る。
「なんか、制服を着てないエイナさんって新鮮です……何というか、そう!若々しく見え――」
「ふーん……そう。私まだ19歳なんだけど、『若々しく見える』んだ〜………?」
背筋に包丁の切先を突きつけられたような悪寒と共に、笑顔の筈のエイナの背後に恐ろしいオーラが噴出する。リングアベルに「年齢関係の発言は細心の注意を」と教えられたのに早速大失態である。
「ぜ、前言撤回!いつもの落ち着いた制服と眼鏡がなくて開放的な姿がまるでお日様に照らされた上質なシルクのように美しくて柔らかく感じます!!」
「うん、よろしい」
魔物より恐ろしいオーラが消え、エイナの笑顔が素直に喜ばしいものに変わる。
先輩と一緒に女性の褒め方を練習しておいてよかった……とベルはホッとした。
「それにしても……リングアベル君も来るように言った筈だけど、どこにいるのかしら?」
「それなんですけど……先輩は『先約があるから一人でデートを楽しんで来い』って。カツオブシ買ってたので多分ミネットちゃんに会うんだと思います」
ミネットといえば、この前の騒ぎで殺し合い寸前の戦いをしたらしいガネーシャ・ファミリアの若き新星だ。あんなことがあった後でも交友を持っているとは思わなかった。流石に幼い彼女を恋愛対
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