第三十話
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服警官が生徒達を監視するかのように校門に立っている。
みんなはそれがもう当たり前のようになっているんだろう、さほど注意も向けず普通に登校している。
捜査はどの程度進展しているんだろう。それを聞きたくて仕方がないけど、どうせ教えてもくれないだろうから、ぼんやりと警官や一緒に立っている生徒指導の教員達に挨拶をしながら学校へと入っていった。
教室の日向寧々の席には花瓶が置かれ花が添えられている。
今日は漆多も登校していて、自分の席について本を読んでいるのが見えた。
声をかけようと思ったけどヘッドホンをしていて音楽を聴いているようだ。息苦しい思いをしなくてすんだかと思ってほっとした。思い詰めたような顔をしているのが斜め後方からも見えたけど、「安心しろ、漆多。昨日お前を痛めつけ、今後の地獄を約束した連中は俺がボコボコにして二度とお前にちょっかい出せないようにしてやったぜ」と声に出さずに言ってやった。
一応気になっていたので、教室に来る前に蛭町達のクラスを覗いたが、6人とも今日は休んでいるとのことだった。
そりゃそうだよな。あんだけやられたら学校に来られないだろう。怪我をしたりしてるけど誰にも言えないはず。脅すにはなれている奴らも脅されるのにはなれていない。おとなしく布団を頭からかぶって家で怯えているんだろう。ざまー見ろって思った。これまで如月や他の誰かにやってたことがどれだけやられている側にとっては辛いことか少しは分かっただろう。まあ分かったところで許される物ではない。それでも知らないよりは奴らにとっては良い薬だ。
この警告をきちんととらえ、奴らがすこしでもまともになれば良いと思った。……こりもせず漆多にちょっかいだしたら今度は本気で殺してやるくらいの気持ちに俺はなっている。
力を手に入れたせいか、かつて無いほど攻撃的な気分になっている自分に少し怖いとも思っているから、まだ異常ではないんだと安心する。
椅子に座って軽く伸びをしたとき、クラス委員の佐奈 更(さな さら)に声をかけられた。すぐに職員室に来るようにとのことだった。
「え? 誰が何の用事なの? 」
「佐藤先生が用事があるから来てくれだってさ」
理由も何も聞いていないとのことだった。
さて何だろう? 蛭町達を痛めつけたのがばれたかな? それ以外は浮かばなかった。
面倒くさいな。
それでも呼ばれたからには行かないわけにもいかないし、俺は立ち上がった。
すぐに紫音が駆け寄ってきて、「何かあったの? 」と心配そうな顔で聞いてくる。
どういう訳か、いつでも真っ先に俺のことを心配してくれるのは紫音だ。学校ではどうしても孤立しがちだった俺の事をいつも気にかけてくれていた。だから余計に心配になるんだろうか。幼馴染の腐れ縁ということ
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