第二百二十話 戸次川の戦いその十三
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その怯みを見てだ、信忠は告げた。
「今こそじゃ」
「全軍で、ですな」
「川を渡りますな」
「うむ」
柴田と佐久間に確かな声で告げたのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
「我等も」
「大筒はこのまま撃つ」
そしてというのだ。
「敵陣を攻めつつじゃ」
「川を渡りますか」
「一気に全軍で」
「敵が怯んだ今こそじゃ」
まさにというのだ。
「よいな」
「では、ですか」
「若殿も」
「無論わしも行く」
信忠は勇も見せた。
「今は決める時じゃからな」
「では我等が」
「お供します」
二人も応えてだ、そしてだった。
信忠は全軍に川を渡る様に命じた、すると一気にだった。
織田の軍勢はそのそれぞれの場所から川を渡りに入った、上杉と武田が川を渡り終え攻めてきた状況に怯んだ島津の軍勢は反応が遅れた。
そしてその遅れた隙にだった、織田の軍勢は一気に川を渡って。
全軍で攻めに入った、織田の軍勢は数と勢いで攻めた。
島津の軍勢はこの攻めに一気に守勢に回ってしまった、今は凌いでいるが。
重臣達がだ、義久に言って来た、義久の本陣は上杉、武田の軍勢と今も戦っている。
「殿、遂にです」
「織田の軍勢が来ました」
「このままではです」
「全軍が」
「そうじゃな」
義久も応えた。
「このままだとじゃ」
「負けます」
「総崩れになるな」
義久はこうも言った。
「だから退くじゃ」
「そうしますか」
「ここは」
「皆の者退け」
義久はこの断を告げた。
「わかったな」
「ではこのまま」
「南に下りますか」
「そうされますか」
「そうするぞ、また戦う」
敗れてもだ、義久は諦めていなかった。それでだ。
家臣達にだ、こうも言った。
「これより後詰を決める」
「ではこの後詰はそれがしが」
「いえ、それがしがします」
家臣達は口々に名乗り出た、だがここでは。
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